2017 Fiscal Year Research-status Report
積雪寒冷地域における高齢者の冬期居住安定に資する生活支援ハウスの整備に関する研究
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16K00765
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山田 義文 東洋大学, 地域活性化研究所, 客員研究員 (80584375)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者生活支援ハウス / 寒冷積雪地域 / 中山間地域 / 地域居住環境 / 医療・福祉建築計画 / 地域施設計画 / 平面計画特性 / 地域包括ケアシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、本研究の成果を実際に寒冷積雪地域で暮らしを送る高齢者の居住環境向上に寄与させること、研究内容の客観的な評価を得ることなどを目的に、学会発表などの機会を通して、関連分野の研究者との意見交換等を行った。 2017年8月には、本研究でこれまで実施した札幌市の高齢者生活支援ハウスを対象とした研究成果を日本福祉のまちづくり学会の全国大会にて、コメンテーター付き論文を投稿し、口頭発表を行った。2018年9月には、日本建築学会に参加し、研究成果の口頭発表と本研究と関連のある「被災地・被災者への寄り添いと計画の役割―熊本・大分での調査・支援活動から」、「コンパクトシティの政策・計画からデザインへ」の研究懇談会に参加した。 2018年3月には、本研究の調査フィールドの一である札幌市厚別区の地域部会に出席し、これまでの研究調査による分析を通して明らかとなった成果を報告し、医療・保健・社会福祉の分野から高齢者の地域居住継続に日々活躍している医師や看護師、保健師、社会福祉士、介護福祉士の専門職の方々と意見交換を行い、これまでの研究成果の振り返りながら、今後の研究方策に関して指針を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は、これまでの研究成果を学会や地域部会にて報告することを通じ、これまでの研究成果の振り返りと今後の推進方策を確立することに重点を置いた。 2017年8月に参加した日本福祉のまちづくり学会では、口頭発表した研究内容について、有識者から「寒冷地である札幌市の4事例について、現地調査及び職員や入居者へのヒアリングを通じてデータを収集している。調査を行った4事例については、それぞれ平面図とともに具体的な状況が示されているので、分かりやすく、大変意義深い研究であると理解する。」、「高齢者生活支援ハウスの利用者に関する記述においては、様々な理由を抱えて住処として選択したことが読み取れ、さらには2012年以降5年間の記録を基に、その後の転居先などを調べて、困難な移動の実態を明らかにしている点は、今後の建築計画分野における示唆が読み取れ、研究成果として興味深い」との意見をいただいた。 この結果を受けてさらに調査結果の分析を進め、その結果を2018年1月初旬に日本建築学会第36回地域施設計画研究シンポジウムの審査付き論文として投稿した。2018年3月に、査読者より高齢者生活支援ハウス入居者及び職員に対して実施したヒアリング結果の類型手法に関して意見をいただいたことを受け、現在、調査結果の分析を深めながら研究論文の修正作業を行っている。修正論文は、2018年5月初旬に学会に提出し、論文採用後2018年7月に日本建築学会にて口頭発表を行い、有識者と意見交換する。 以上の状況を鑑み、本研究はおおむね順調に進展していると判断する次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、札幌市における調査結果を踏まえて、学会発表後下半期から他地域における高齢者生活支援ハウスの平面特性の分析や実態調査を実施する予定であった。 しかし、2018年度から研究代表者の所属研究機関が異動となる運びとなり、2017年度後半からアンケート調査や実態調査を行った場合、個人情報等を含む調査票の回収等が円滑に進まない状況が生じかねないことを危惧した。そのため、2017年度はこれまでの研究成果を審査付き論文として報告するために、札幌市における調査結果の分析を深めることや、有識者との意見交換を深めることを趣旨とした研究活動に徹した。 これまでの研究成果を審査付き論文として投稿する一目標は、2017年度の一連の研究活動により達成できた。なお、当初予定していた札幌市以外の高齢者生活支援ハウスを対象としたアンケート調査や訪問実態調査の企画はおおむね立案されており、2018年度に直ちに実施できる状況にある。 2018年7月には、当研究分野に広く携わる有識者と第36回地域施設計画研究シンポジウムにて意見交換を行い、その内容を今年度実施する調査方策にも反映させる。 2018年度末には、本研究で新たに得られた知見を分析し、2019年度の日本建築学会及び日本福祉のまちづくり学会での口頭発表に向けた梗概の執筆などを通して本研究のまとめを行う。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属研究機関異動に伴い、調査票を確実に回収するため2017年度に実施を予定していた札幌市以外の地域に所在する高齢者生活支援ハウスを対象としたアンケート調査及び訪問実態調査の実施を2018年度に移行した。この状況に伴い、当初計上していたアンケート調査に必要となる郵送費と訪問実態調査に必要となる旅費が2018年度に繰り越しとなった。
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Research Products
(2 results)