2016 Fiscal Year Research-status Report
衣服の「着心地」を定量的に評価できるダイナミック・コンフォートマネキンの試作開発
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16K00782
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西松 豊典 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (40252069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 博幸 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (60362109)
木村 裕和 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (80359372)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 着心地 / ワイシャツ / スラックス / 上衣 / 衣服圧 / よこ伸度 / 一対比較法 / 官能検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、背広服はビジネス社会において定着しており、背広服着用時の衣服は上衣、スラックス、ワイシャツが基本スタイルである。本年度は、上衣、スラックスとワイシャツに着目した。 よこ伸度が異なる5種類の生地を用いて試作したワイシャツを着用した被験者(20代男子大学生)が水平内転運動を行い、一対比較法(中屋の変法)により「着心地(圧迫感がある、追従しない、動きやすい、着心地が良い)」について官能検査を行った。また、ワイシャツを着用して水平内転運動を行っているときの被験者の肩甲部、脇下部および上腕部とワイシャツ間の衣服圧を測定した。そして、「着心地」官能検査結果と衣服圧測定結果間の相関関係を検討した結果、ワイシャツ生地のよこ伸度が増加すると、肩甲部および脇下部において衣服圧が減少し、「着心地」が向上することがわかった。 よこ伸度が異なる4種類のスラックスを用いて、2種類の試技(片脚上挙運動、しゃがみこみ運動)を行ったのち、シェッフェの一対比較法(中屋の変法)を用いて身体下肢の5部位についてスラックスの運動機能的着心地(圧迫感がない、つっぱり感がない、伸びやすい、動きやすい、着心地が良い)を評価した。エアパック式接触圧測定器を用いて、2種類の試技時における身体下肢8点の衣服圧を測定した。「着心地」官能検査結果と衣服圧測定結果間の相関関係より、よこ伸度が異なるスラックスの運動機能的着心地は、大腿部前面、大腿部内側および臀部の衣服圧が減少すると向上することがわかった。 紡績方法が異なる糸を用いて製布した織物で試作したスーツの「清涼感」について官能評価を行うとともに、織物の物理特性を測定した。そして、紡績方法が異なる糸の特徴が織物の物理特性や手触り評価による「清涼感」、スーツの着心地評価による「清涼感」にどのような影響を与えるかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度では、ワイシャツやスーツ上衣の「着心地」を評価する上肢運動(水平内転運動)、スラックスの「着心地」を評価する2種類の下肢運動を提案し、それらの試技で「着心地」を適切に官能評価する手法(官能検査法の種類、評価形容語、評価時間)を確立した。さらに、被験者がワイシャツ、スーツ上衣、スラックスの着心地を評価しているときの生理的機能量である衣服圧を計側・評価する方法(測定部位、測定時間、データの解析方法)について検討した。その結果、「着心地の良さ」と衣服圧との相関関係を明らかにした。 これらの研究成果を繊維機械学会年次大会において1件(発表題目;紡績糸の構造が春夏用生地及びスーツの清涼感に及ぼす影響)、繊維学会年次大会において2件(発表題目;上衣重量が肩部へ及ぼす負担の基礎的考察、上衣重量による肩部の衣服圧と触圧覚閾値との関係)、口頭発表を行った。 また、現在 得られた研究成果を論文にまとめ、繊維機械学会へ投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に提案した上衣やワイシャツの「運動的着心地」を評価する試技(上肢の水平方向や上下方向への運動角度、運動速度)の設計案に基づいて、平成29年度は着心地を客観的に評価できる上衣コンフォートマネキンを試作する。マネキンを試作する際には、マネキンに用いる材料の硬度、マネキンのサイズ、試技を行う運動制御方法(上肢の水平方向や上下方向への運動角度、運動速度)について検討を行う。 平成29年度は、平成28年度に用いたよこ伸度より大きなよこ伸度の綿生地を製布してワイシャツを試作する。そして、これらの試料について被験者が提案した試技によって官能評価した「着心地」評価量、試作したワイシャツを着用して水平内転運動を行っているときの被験者の肩甲部、脇下部および上腕部とワイシャツ間の衣服圧と本年度試作する上衣コンフォートマネキンで計測した衣服圧について比較・検討を行う。 同様にして、平成28年度に用いたよこ伸度より大きなよこ伸度の毛織物を製布してスラックスを試作、これらの試料について被験者が試技によって官能評価した「着心地」評価量、試作したスラックスを着用して下肢運動を行っているときの被験者の大腿部とスラックス間の衣服圧について比較・検討を行う。 さらに、糸構造が異なるスーツの「清涼感」を上衣コンフォートマネキンを用いて計測・評価する方法についても考察を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究分担者の物品費について、共有できるものが多くなったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成29年度請求額と合わせて、消耗品の購入に充てる
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Research Products
(3 results)