2016 Fiscal Year Research-status Report
カシスが秘めるフィトエストロゲン作用 -血管内皮と皮膚に対する保健効果の探索-
Project/Area Number |
16K00844
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
七島 直樹 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (80333730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 香代 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (30626825)
冨澤 登志子 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (70333705)
北島 麻衣子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (70455731)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カシス / フィトエストロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度における本研究の目的は皮膚におけるカシスの新規保健機能を明らかにすることである。申請者らはこれまでに、カシスアントシアニンにはエストロゲン受容体(ER)αを介したフィトエストロゲン効果があることを見出している。しかし、ERβへのフィトエストロゲン効果は知られていない。そこで、ERβでの発現が高いとされる皮膚におけるカシスアントシアニンのフィトエストロゲン効果を探索した。4種のアントシアニン化合物、cyanidin-3-glucoside, cyanidine-3-rutinoside, delphinidin-3glucoside及びdelphinidin-3-rutinosideについて、ヒトエストロゲン受容体β(ERβ)との結合について推察するため、立体構造を使用したin silico解析を行った。ERβの立体構造は、estradiolとcoactivatorが結合した複合体としてX線結晶構造解析により決定されている。本解析では、このERβとestradiol複合体の立体構造を使用し、ERβへの4種の化合物のドッキングを行った。 その結果、化合物のコアの部分であるcyanidin及びdelphinidinは、ERβのリガンド結合ポケット内部に収まることが推察された。 ヒト皮膚線維芽細胞をカシスアントシアニンで処理すると約60ものエストロゲン下流遺伝子が大幅に変動しカシスアントシアニンがヒト皮膚においてもフィトエストロゲン効果を有することが示唆された。 ヒト血管内皮細胞を用いたマイクロアレイの結果から種々の遺伝子の変動を見出し、血管内皮の保健機能へカシスアントシアニンが寄与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ERβとアントシアニンとのドッキングアッセイは順調に結果が得られた。ヒト皮膚線維芽細胞でのマイクロアレイ解析も順調に結果が得られた。血管内皮細胞のマイクロアレイ解析は現在進行中である。卵巣除去ラットを用いた皮膚や血管の病理学解析も予定よりも早く進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
卵巣除去ラットにおけるカシスアントシアニンのフィトエストロゲンの評価を行う。 1. 皮膚の評価 ①12週齢の雌ラットを卵巣摘出後3ヶ月間飼育し、内因性エストロゲンの影響を受けない状態にする。次にカシスアントシアニンを含んだ餌を3ヶ月投与する。卵巣を除去したラットからはエストロゲンが分泌されず、フィトエストロゲン活性の評価をするモデルとして一般的に用いられている。②皮膚のHE染色、コラーゲン、ヒアルロン酸を染色し、病理学的な変化を評価する。 2. 血管内皮の評価 ①上記のラットの大動脈をHE染色、エラスチンの染色により病理学的に評価する。②血管内皮機能バイオマーカーとして内皮型NO合成酵素(eNOS)、NOの代謝産物であるNOxの発現をウェスタンブロット法等で解析する。
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Causes of Carryover |
研究分担者の担当分の研究に至らず、助成金が未使用であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度に血管内皮細胞を用いた遺伝子の変動解析の物品費として使用する。
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Research Products
(4 results)