2017 Fiscal Year Research-status Report
カシスが秘めるフィトエストロゲン作用 -血管内皮と皮膚に対する保健効果の探索-
Project/Area Number |
16K00844
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
七島 直樹 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (80333730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 香代 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (30626825)
冨澤 登志子 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (70333705)
北島 麻衣子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (70455731)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カシス / フィトエストロゲン / 皮膚 |
Outline of Annual Research Achievements |
カシス由来アントシアニンは植物性エストロゲン(フィトエストロゲン)活性がある。大豆由来のフィトエストロゲンには心臓血管系疾患の改善効果や皮膚に対する美容効果があるという報告は数件あるがカシスアントシアニンのフィトエストロゲン作用に関しては報告例がない。本研究はカシスの皮膚美容と血管機能改善効果を検証するものである。平成29年度における本研究の目的はヒト皮膚線維芽細胞やヒト臍帯静脈内皮細胞での効果、さらには更年期モデル動物として、卵巣を除去したラットを用い、皮膚および血管内皮におけるカシスの新規保健機能を明らかにすることである。 マッソントリクローム染色法、エラスチカ・ワンギーソン染色法、免疫染色法により、卵巣除去ラットで通常餌を摂取したラットでは、皮膚のコラーゲン層が薄くなるものの、3%カシスを含有した餌を3か月摂取させると、コラーゲン層ならびにヒアルロン酸の産生量、エラスチン生産量が増加した。 ヒト皮膚線維芽細胞にカシスアントシアニンを投与すると、エストロゲン下流遺伝子が大幅に変動していた。また、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン合成遺伝子の発現が亢進した。一方、細胞外マトリックス構成分子を分解する、マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)やMMP阻害因子であるTissue Inhibitor of Metalloproteinase3の発現が低下していた。 ヒト臍帯静脈内皮細胞にカシス抽出物(BCE)を投与し、遺伝子発現をマイクロアレイで解析するとエストロゲン受容体の下流遺伝子が大きく活性化していた。また、卵巣除去ラットの血管では3%BCEを摂取したラットにおいてエラスチンが増加した。これらの結果から、BCEは皮膚や血管内皮においてフィトエストロゲン効果を発揮していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カシスが及ぼす卵巣除去ラットへの効果の評価は順調に結果が得られた。血管内皮細胞のマイクロアレイ解析も順調に進み、卵巣除去ラットを用いた血管病理学解析もおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト臍帯静脈内皮細胞を用いたタンパク質解析など分子生物学的な解析を行う。 ヒトに対する血管機能解析や皮膚美容関連因子の解析などを行う。
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Causes of Carryover |
ヒト臍帯静脈内皮細胞におけるカシスの影響の検討が進行中であるため、この細胞のタンパク質解析に経費を用いる。
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