2016 Fiscal Year Research-status Report
獣害から獣財へ:シカ・イノシシのイメージ変容を促進する食肉製品生産システムの解明
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16K00916
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
星 英之 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (30301188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 通典 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 講師 (30582324)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 獣害 / シカ / イノシシ / イメージ調査 / 食料利用 / 衛生状態 / 商品開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は研究目的のうち、(1)シカ・イノシシのイメージ調査、(2)野生シカ・イノシシ精肉の安全性確保、(3)製品開発を中心に研究を行った。 (1)シカ・イノシシのイメージ調査 獣害の研究分野において用いられた例のない、社会心理学的測定法であるSD法(Semantic differential method)を用い、人々の獣害動物に対するイメージ及び獣害への意識について明らかにした。野生動物による被害を受けている地域である長崎県対馬市・兵庫県A市に加え、比較対象とするために奈良県奈良市の観光地(東大寺付近)・大阪府立大学の4地域を調査対象とし、イヌ・ネコ・イノシシ・シカ・アライグマの5種類の動物に対するイメージを測るためのアンケート調査を行った。その結果獣害動物であるイノシシはすべての調査対象地においてネガティブなイメージを抱いていることが分かった。獣害が問題になっている地域では、シカ・アライグマはネガティブなイメージがあるのに対し他の2つの地域では、シカ・アライグマは、ポジティブなイメージを抱いていることが分かった。 (2)野生シカ・イノシシ精肉の安全性確保 対馬市とA市の解体処理施設で生産された精肉の衛生状態を調べる目的で一般生菌数、大腸菌群数等について検査し、市販の肉との比較を行った。対馬市で生産されたイノシシ肉及びシカ肉、A市のシカロース肉、内モモ肉は市販の肉に比べ有意に低い一般生菌数、大腸菌群数を示し良好な衛生状態だった。しかしA市のシカミンチ肉は衛生状態に問題がある値を示した。A市の解体処理施設では、平成29年度から衛生的な解体処理に向けて改善が必要であることが分かった。 (3)製品開発 対馬市では、伝統的な製法に基づいた加熱食肉製品の生産を、A市においてシカ肉を原材料とするアレルギー対応の缶詰の商品開発が行われ生産及び販売が開始された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)シカ・イノシシのイメージ調査については、並行して行われたインタビュー調査で得られたイメージとSD法により得られたイメージに矛盾が認められずSD法が動物のイメージを調べる新しい方法として利用可能であることが分かった。(2)野生シカ・イノシシ精肉の安全性確保については、対馬市ではシカ・イノシシ肉が衛生的に解体処理されていることを衛生学的な手法により確認した。また、衛生的な解体のコツについても調査を行っており、他の解体処理施設でも適用可能である。平成29年度から行うHACCP導入に向けて有用なデータが得られた。(3) 商品開発については、対馬市もA市もイノシシ肉・シカ肉の特徴を活かした商品を開発し販売を開始している。しかし、インタビュー調査から、農業従事者はシカ・イノシシに強いネガティブイメージを抱いており、それらを食べたいとは感じていないことが分かった。シカ・イノシシのイメージを変容するには、商品開発と並行して、獣害を無くす必要があることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、(4)食肉製品生産システムの構築、(5)食肉製品の安心・安全確保を目的としたHACCP認証に向けての現場調査及び認証取得の支援、(6)平成28年度に引き続き製品開発を行う。(4)に関しては、農業従事者自らがシカ・イノシシの捕獲・防御を行う「捕獲隊」制度が対馬市で始まっている。捕獲隊制度が農業従事者のシカ・イノシシのイメージ変容に与える影響について調査を行う。(5)に関しては、対馬市の解体処理施設における衛生的な解体処理方法をA市の解体処理施設でも施行し、衛生状態改善が可能佳検討を行う。また、対馬市及びA市の解体処理施設及び食肉製品加工施設において衛生学的な検査を実施し、重要管理点を定めHACCP導入・認証の補助を行う。(6)については、平成28年度に引き続き食肉製品の開発を行う。
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Causes of Carryover |
アンケート調査費用として「アンケート配布・回収謝金」を申請していたが、郵送による送付・回収に切り替えることに成功し、予算の軽減を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、オーストラリアで行われる12th International Mammalogical Congress 2017で研究成果の発表することが確定しており、参加費用及び旅費・宿泊費用に充てる。
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Research Products
(2 results)