2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K00947
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
川村 寿郎 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (60186145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内野 隆之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (40466230)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地学学習 / シームレス地質図 / 中学校理科 / 高等学校地学 / 地域地質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、産業技術総合研究所地質調査総合センターから公開されている「20万分の1日本シ-ムレス地質図」(以下、シームレス地質図)を活用して、中学校理科・高等学校地学で利用可能な教材の作成と学習方法の検討を行い、その学習効果を検証する。本年度の実績は以下の通りである。 1.シームレス地質図の中から、中学校理科地学分野と高等学校「地学基礎」の学習内容に適合する地質事象を吟味するため、特に仙台周辺地域の新第三系と北上山地の古-中生界の事象について現地確認を継続し、その有効性を確認した。 2.宮城教育大学附属中学校と他校との交流授業、および岩手県一関地区中学校理科の研究授業としてそれぞれ実施したシームレス地質図を使った地域の地質の成り立ちを理解する学習について、教師・生徒双方のアンケートや実施記録をもとに学習展開方法や効果などについて検証した。その結果、シームレス地質図は生徒の理解を促進するうえで大きな効果があることが確認された。 3.シームレス地質図とそれを補完する他の地質情報とを連関させた新たな学習モデルをつくるため、宮城教育大学上杉地区内でボーリングコアを掘削採取して標本を作製するとともに、岩相・層序・年代を検討した。附属中学校において、それらの資料とシームレス地質図を用いて地学分野の授業を実施し、学習展開や教材利用について検証した。その結果、地表から地下にわたる地質の立体空間分布と成り立ちを学習する上で効果的であることが確認された。 4.シームレス地質図の改訂版(「日本シームレス地質図v.2」)が2017年5月に公開され、授業実践で指摘していたシームレス地質図表示区域内の地質凡例が表示されるようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画として、平成29年度予定していた下記の項目について遂行された。 ① シームレス地質図から学習事項の事例となる地域の抽出、 ② 仙台周辺地域での地学学習事項の例の抽出と現地確認調査と他の地質情報等の導入の検討、 ③ シームレス地質図を活用した学習計画の立案と授業実践、および教材の学習効果の検証、 ④ シームレス地質図を利用した学習モデルの作成と一部提示、 さらに、平成30年度に予定していたシームレス地質図の改良も進められた。ただし、⑤地形や地質の異なる地域での学習内容の検討は、代表的地域以外での検討は進んでおらず、学習事項のコンテンツ整理も未だ不十分と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、下記の研究を進めることとする。 1.仙台周辺地域の丘陵~台地~平野を例として、地学領域の学習項目の適例(火山、岩石、地層、活断層など)を抽出して、教材として追加整理する。一方、山地や盆地の例として、北上山地を対象として、地学領域の学習項目の適例(断層、褶曲、貫入、不整合など)を抽出し、教材として追加整理する(前年度からの継続)。 2.シームレス地質図を利用するとともに、他の地質情報(ボーリング資料やハザードマップ)等を取り入れた中学校理科地学領域での学習計画を立案する。中学校理科の地学領域の中で、地域の「大地の成り立ち」を理解する学習モデルを作成する。 3.宮城教育大学附属中学校において、3に基づいた授業を実践し、教材と学習方法の効果と問題点について検証するとともに、シームレス地質図のデータを他のソフト(マインクラフトなど)へ実装して、地質・地形の学習を試行する。 4.シームレス地質図を教材として利用し易くするために、地質調査総合センターの情報提供内容に関する追加改良を検討する。 5.中学校理科・高等学校地学の担当教員を対象とした研修会において、シームレス地質図を使った学習モデルを紹介して、利用の普及を進める。
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Causes of Carryover |
地形や地質の異なる地域での学習内容の検討として、2018年2月-3月に該当地域の地質の現地調査を計画していたが、研究代表者の体調不良による入院や研究分担者の業務多忙のため、調査日程が確保できず実施できなかった。そのため,次年度に調査を実施して執行するとともに、当該年度分についても当初計画通り執行する。
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