2017 Fiscal Year Research-status Report
学術コーパスから抽出した情報に基づく科学技術ライティング指導教材作成法の研究
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16K01016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 一成 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (80270346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂尻 彰宏 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (30512933)
石島 悌 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 製品信頼性研究部, 主任研究員 (80359398)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アカデミック・ライティング / 科学教育 / 教材開発 / 学術コーパス / 技術文書 / 自然言語処理 / 長単位 / 形態素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学術文・技術文のコーパス(言語資源)から言語特徴抽出を行い、その情報を学習教材として提示し、対応するカリキュラムを開発することにより、科学技術系ライティング教育の進歩を図ろうとするものである。このため、2項目の研究推進を計画している。大学や公共技術研究所で蓄積した科学技術文章データを選定し、学術・技術文コーパス化の作業を行う。情報抽出と教材が容易になるよう、データベース管理システムの利用を計画している。また、コーパスからの抽出情報を基に、特に科学技術文章に特有の語彙・連語・文体などの言語的特徴情報を整理し、動画を含むライティング指導の教材の素材とすることを試みる。指導者のためのマニュアルやシラバス案なども併せて作成し、大学でのライティング授業や公共技術研究所内研修で活用することを計画している。 平成28年度は、学術文章データをコーパス化するための研究手法整備を中心に推進した。特に、学術文の特徴である専門用語を抽出し、解析対象とするため、国語学で長単位と呼ばれる形態素の区切り基準で分を分解する必要があり、そのための環境整備を推進した。大阪大学学術情報庫(OUKA)より、学術文の代表として博士論文概要文を選定し、試行処理の対象とした。 平成29年度は、解析手法の改良を中心に作業を行った。さらに、ライティング指導教材(特に動画を利用した教材)を作成するため、関係機材の購入や試行データ作成作業を行った。また、大学における主なライティング教育対象である学部新入生が、入学時点で保有しているライティング能力の把握は、カリキュラム設計において重要であり、平成28年度中に行ったアンケート調査の解析を進めた。 これまでの成果は、論文や各年度の大学教育研究フォーラムでのポスター発表により、公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、解析手法の改良を中心に作業を行った。さらに、ライティング指導教材(特に動画を利用した教材)を作成するため、関係機材の購入や試行データ作成作業を行った。また、大学における主なライティング教育対象である学部新入生が、入学時点で保有しているライティング能力の把握は、カリキュラム設計において重要であり、平成28年度中に行ったアンケート調査の解析を進めた。 平成29年度の研究遂行において、いくつかの困難な点があり、進行が遅れてしまっていると考えている。まず、平成28年度中に一定の手順構築をした長単位形態素解析法について、基本となるソフトウェアの選定を見直し、手順の再構築をおこなったことにより、研究段階の戻りが生じてしまった。また、手順が確定していないため、作業補助者を雇用し、大規模にデータ解析する作業を依頼する段階にまで至ることができなかった。さらに、分担者の一名が平成29年度中のほぼ全期間病気休職と静養勤務期間となり、研究遂行が難しい状況であった。 以上の理由により、「やや遅れている」とする自己評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、とくに遅れのでているデータ蓄積作業の大規模化を集中して進める。また環境整備ができている教材作成について、可能な部分から作成に着手する。平成29年度に進行できなかった技術研究文データの蓄積と解析作業は、担当分担者が健康回復する状況にあるので、体調を考慮しながら遅れを挽回すべく進行する。研究代表者と研究分担者との打ち合わせや共同研究会・共同作業の回数を増やし、研究進行のコントロールを強化する。
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Causes of Carryover |
(理由)平成28年度中に一定の手順構築をした長単位形態素解析法について、基本となるソフトウェアの選定を見直し、手順の再構築をおこなったことにより、研究段階の戻りが生じてしまった。このことに連動して、手順が確定していないため、作業補助者を雇用し、大規模にデータ解析する作業を依頼する段階にまで至ることができなかった。このため、作業支援のアルバイト人件費・謝金の執行ができなかった。また、平成29年度は分担者の病気休職により、技術研究文データの蓄積・解析作業が進行できなかった。このため、配分した分担研究費は平成29年度中は使用せず、平成30年度に繰り越すこととした。 以上の事項が主な理由として、次年度使用額が生じた。 (使用計画)平成30年度は、新規に選定した形態素解析ソフトウェアを利用した作業環境を早急に整備する。そのうえで、作業協力者を雇用し、平文テキストデータであるネットワーク上の学術文章データの解析・形態素情報付与の作業を推進する費用として執行する計画である。分担者の健康は、平成30年度始まりの時点で回復に向かっており、平成30年度は研究を推進することが可能であると思われる。平成29年度中に推進する予定であった、技術研究文データの解析・形態素情報付与の作業を推進する。
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Research Products
(4 results)