2018 Fiscal Year Research-status Report
教科・科目を横断した学生の共通学習特性の研究-ビッグデータ解析による実証的検証
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16K01106
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
佐藤 眞久 愛知大学, 地域政策学センター, 研究員 (30143952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 竜哉 桜の聖母短期大学, その他部局等, 教授(移行) (70624542)
湯川 治敏 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (40278221)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 共通学習特性 / 学習特性群団 / ベクトルの外積 |
Outline of Annual Research Achievements |
教科・科目を横断した学生の共通学習特性を見いだす数学的理論を整備し発表を行った。同一の学習特性を持つ集まり(学習特性群団)を、テストの得点からなるベクトルの外積を用いて求める手法を提唱した。この手法の適切性の検証を従来から8大学連携で行ってきた学修観の研究結果を用いて行った。学修観では訓練指向、実用指向、関係指向、自尊指向、報酬指向、充実指向の6項目でその特性を調べ、学生にフィードバックして学習の指針をたてる参考にしてきた。この中で、実は、充実指向、訓練指向、実用指向の3つの指向が、関係指向、自尊指向、報酬指向の3つの指向と同一の学習特性群団をなしていること、すなわち相互補完的であることを実証した。これにより、それぞれ3つの指向が、一つの同一学習特性を表していることがわかった。さらに、他の項目の組み合わせに関しては、このような共通の特性を示していないことも検証ができた。これは、この手法の有効性を示しており、数学などの教科・科目から具体的に共通学習特性を見いだす可能性を十分に示した。 今回の研究では、任意の2つのベクトルのなす角を考える代わりに、平均値を成分に持つ基準ベクトルとのなす角を考え、この角が小さい値をとる場合の群団について考察をした。これにより学修観の群団を発見したが、経年変化の状況を確認するため、数年分のデータでこの群団を考察して、副産物として、この群団から大きく離れる位置にいる学生は、入学時には問題がなくても、高学年で何らかの指導を受けている学生であることがわかった。これは、将来問題を生じるあろう学生の抽出が可能であることを示したことになる。早期の段階で、留年等の問題が起こるのを回避する指導を行えることが発見できたことは大学教育や学生への多面的な指導で有益な方法を提示したことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学修観の項目で、3つの指向が他の3つの指向と同一の学習特性を示していることを実証でき、しかも他の組み合わせでは、共通な特性を示していないことも実証し、数学的理論の適切性が示され、最終年に向けて各科目間での未知の多くの共通特性の抽出に見通しがたった。特に将来問題が生じるであろう学生の抽出ができることが分かったことは、この研究の有益性を示しており、研究が順調に進展している結果でもある。
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Strategy for Future Research Activity |
数学のプレイスメントテストのビッグデータを活用し、英語や日本語などの教科・科目と共通する特性を抽出し、潜在的な学生の能力を見いだす最終目的を達成したい。それにより、潜在的な能力を学生に提示し、将来幅広く活躍できるモチベーションを持たせる教育的指導体制の方法も確立させたい。問題のある学生の早期抽出を可能にする学習特性群団の抽出に成功した今年度のような具体的成果を、未知の学習特性群団を見いだすことで出していきたい。
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Causes of Carryover |
本年度に予定していた研究会に、業務が入り参加できず旅費分が残った。次年度の研究会にこの分を使用する。
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