2016 Fiscal Year Research-status Report
日本における科学と社会の今日的課題の解決に寄与する関連領域を含む新たな科学史研究
Project/Area Number |
16K01169
|
Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
溝口 元 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (80174051)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 豊 東京工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (10369944)
和田 正法 三重大学, 教養教育機構, 講師 (10724990)
佐野 正博 明治大学, 経営学部, 専任教授 (70206001)
岡田 大士 中央大学, 法学部, 准教授 (90425372)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 科学史 / 日本科学史学会 / 理学史会 / 学会連携 / 記録保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
・日本の科学史技術史系学協会、関連団体等との間の連携・協力体制の実態を調査するため、2016年5月28日、日本科学史学会第63回年会(会場:工学院大学)において開催された日本科学史学会と日本技術教育史学会との連携シンポジウム「日本における技術史研究の現状と展望」および科学基礎論学会との連携シンポジウム「グローバル時代の科学史;科学基礎論と外国語での発信」。2016年6月18日、科学基礎論学会大会(会場:埼玉大学)における科学基礎論学会と日本科学史学会との連携ワークショップ「生物学における総合を問い直す」。2016年8月26日、日本科学史学会生物学史分科会と一般財団法人奈良の鹿愛護会との「奈良のシカ×生物学史ワークショップ」ならびに日本科学史学会生物学史分科会と明治大学平和教育登戸研究所資料館共済シンポジウム「生物学と軍事研究―歴史的考察」等に出席し情報収集、意見交換を行った。こうした連携・合同シンポジウム今後ますます活発に催される状況にあり、それと科学史技術史研究とが関係すると思われた。 ・日本科学史学会の前身の一つと考えられる1930年代に構想された「日本理学史会」の設立事情を窺わせる資料調査・収集を2017年1月25日、京都大学理学部宇宙物理学教室山本天文台資料室において実施した。そして、入手できた資料の整理を行い、2017年2月4日、国立東京工業高等専門学校において画像化した資料を基に日本における科学史研究、学会組織の形成に関する研究会を開催し、意見交換および今後の研究の方向性についての議論を行った。 ・永年、科学史研究に取り組んで来られた方の科学史への考え方を映像に残すテーマでは、日本科学史学会生物学史分科会シンポジウムの際、報告者を同意を得て映像に記録させて頂いた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・研究計画における科学史技術史系学会の活動分析においては、分析対象として利用可能な資料の収集をほぼ終え、調査の方向性に関する議論を行った。日本科学史学会設立50周年の際に作成された年史の記載事項を踏襲しつつ、そこではほとんど触れられていなった日本における科学史学会設立以前の科学史技術史研究の状況や50周年以降の動向を盛り込んでいくこととした。 ・聞き取り調査および情報収集では、永年、科学史技術史研究に従事され来た研究者に対する情報収集、記録保存として、日本科学史学会生物学史分科会シンポジウムにおける報告者の同意を得て映像に収めた。また、日本科学史学会会長(2015-2016年度)を務めた板倉聖宣氏の科学史関係の映像記録の発掘、整理に親族の同意を得て着手した。学会会長経験者、名誉会員等への聞き取り調査も日本科学史学会の年会を機に企画した。 ・日本科学史学会を中心に科学史系学協会間の連携シンポジウム等に可能な限り出席し、情報収集や意見交換を行った。2017年度も例えば、日本科学史学会と科学基礎論学会との連携シンポジュウムなどいくつか企画されており、それへも参加の予定である。 ・こうしたことから研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
・2017年度も2016年度と同様に科学史技術史系学協会間の連携・共同シンポジウムに出席し、新たな科学史研究の方向性を検討する。その際、とくに共通の話題、テーマへのアプローチ、研究・調査方法の類似点、相違点、基本文献、先行研究等に注意し、共同研究の可能性を検討する。 ・2017年7月にブラジル・リオジャネイロで開催される国際科学史技術史会議に出席し、成果報告を行うとともに研究のレビューを受ける。発表内容は、日本の科学史技術史の研究の歩みと今後の展望に関するもので、発表が妥当であると大会準備委員会から認められたものである。近年、日本を含む東アジアの科学史技術史研究への国際的関心の高まりが感じられるので、アジアの近隣諸国の研究者の研究報告にも参加し、情報の収集や意見交換を行う予定である。これらをまとめて毎回発行している国際会議の報告書へ寄稿する。 ・永年、科学史研究に取り込んで来られた方への面接調査を行い、許諾を得てその様子を映像に残していく。これまでの映像媒体でVHSのようなものであれば、電子デジタル化して保存し、諸手続きを経て公開していきたい。 ・日本における科学史研究の制度的開始をめぐって昨年度、京都大学宇宙物理学教室山本天文台資料室で整理・検討できたものを2017年度の日本科学史学会で報告し、意見交換、情報収集を行う。
|
Causes of Carryover |
聞き取り調査・専門的知識の提供において、企画した調査が依頼者とのタイミングが合わずに実施できなかったことが最大の要因であったと考えている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
年次研究計画は、計画通り遂行し次年度持ち越し等が生じないように研究分担者等と十分に話し合い支出計画を厳格に立てて支出していく。昨年度実施できなかった調査を今年度に行いそこで支出する。
|
Research Products
(3 results)