2017 Fiscal Year Research-status Report
日本における科学と社会の今日的課題の解決に寄与する関連領域を含む新たな科学史研究
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16K01169
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
溝口 元 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (80174051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 豊 東京工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (10369944)
和田 正法 三重大学, 教養教育院, 講師 (10724990)
佐野 正博 明治大学, 経営学部, 専任教授 (70206001)
岡田 大士 中央大学, 法学部, 准教授 (90425372)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 科学史 / 日本科学史学会 / 日本理学史会 / 学界連携 / 研究コンソーシアム / 記録保存 / 日本科学技術史 / 科学と社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
・平成29年度に得られた成果報告として、2017(平成29)年7月、ブラジル・リオデジャネイロで開催された国際科学史会議において、日本における科学史系領域の研究の歩みを振り返りつつ、今後の展望として関連諸団体が連携してコンソーシアム様の組織を構築し研究を進めていく必要性を報告した。 ・研究を進めていく内に、これまでの我が国における科学史研究で手薄と感じられたのが、1941年の日本科学史学会設立以前の1930年代の科学史研究の状況であった。そのため、実地調査を行った京都大学所蔵の「日本理学史会」に関する史資料をこれまでの言及を整理しながら、この会の発足を目指して発起人が呼び掛けた研究者の属性分析、生物学者等で科学史に関心を抱いていた者の研究内容の特徴付けなどを行い、平成29年6月に開催された日本科学史学会第64回年会において報告した。他にも、当時の天文学者や岩波書店の雑誌「科学」の執筆陣にも科学史関係の記事の執筆者が見られたため、これらに興味を抱いている研究者を交え、平成30年度の日本科学史学会においてシンポジウムを企画することにした。日本における科学史的研究を行った方々の属性調査の一環として利用できる結果を得た。 ・さらに、太平洋戦争中、物資が乏しく出版事情も悪い中で刊行された科学史系図書・雑誌の分析や戦後の占領政策期における科学史研究の復活に際して、尽力をした戦前から外国の科学史家と交流があった人物の貢献について検討した結果も含め、平成30年5月27日に開催される日本科学史学会第65回年会シンポジウムで報告する。 ・学会間の連携として、日本科学史学会と化学史学会が平成29年10月に都内内で共同開催したセミナーに参加し、若手研究者とくに科学史系博士論文作成に取り組んでいる者へのアドバイスや支援・協力体制を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・研究計画における日本における科学史系学会の活動分析においては、従来および現状把握を順調に進めている。成果報告に関しては、平成29年6月に開催された日本科学史学会第64回大会において、研究代表、分担者等により「動物学・植物学関係の日本理学史会設立賛同者」、「科学史学会成立以前の日本における科学史の受容」、「初期の雑誌『科学』(岩波書店)と「科学史研究会」等の報告をおこなった。また、学会連携に関しても分担者によるシンポジウム「高等教育における科学技術史と科学基礎論 科学史・技術史関連科目の開講状況に関する調査」を踏まえて」中の「高等教育機関において科学史・技術史を教育・学習することの意義」と題した話題提供を行った。 ・2017(平成29)年7月23日から29日まで、ブラジル・リオデジャネイロで開催された第25回国際科学史技術史会議に研究代表者が出席し、History and Future Prospects of the Study of History of Science and Technology in Japanと題した報告を行った。また、その様子を日本学術会議史学委員会IUHPST分科会の報告集(2017)に記した。 ・また、長年、科学史研究に従事された研究者へのオーラルヒストリーの手法等を用いた調査では、3名に対して行うことが出来、その内容を整理し一部を専門誌に投稿した。また、調査の様子の一部を映像で記録することも実施した。許諾が得られた部分についての一般公開を考えている。 ・学会間の連携については、日本科学史学会の特別委員会「75周年実施委員会」が精力的に取り組み、本研究課題の研究者も全員がこの学会の会員であるため、学会委員会主導の催しに参加し、情報収集を行った。 ・これらのことから「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
・平成30年度は最終年度であり、これまでに得られた成果をまとめ日本科学史学会のホームページのリンクを利用し、インターネット上で公開するとともに冊子媒体でも作成し配布する予定である。この報告書は『我が国の科学史研究の歴史と現状についての実証的研究』(平成元年~3年度科学研究費補助金総合研究A 代表:菊池俊彦)、『日本の科学史研究における碩学からのヒアリングと画像記録による資料収集』(平成4年度~5年度科学研究費補助金A 代表:井原總)に次ぐものと位置づけられるような内容と情報を含んだものにすることを目指している。 ・また、長年にわたって、科学史研究に従事された研究者へのオーラルヒストリーの手法等を用いた調査では、日本科学史学会における「名誉会員」等の表彰の際のスピーチを許諾及び「日本科学史学会 研究倫理綱領」等を遵守し、撮影・編集し記録に残すことを積極的に推進する。 ・他学会との連携による新たな科学史関係の研究の推進では、他学会、研究会等に積極的に参加し、情報交換を行ったり、機関誌、ニューズレター等を分析、参考資料とする。 ・これまでに得られた成果については、科学史系専門誌に学術論文としてまとめ投稿する。
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Causes of Carryover |
3年間にわたる研究成果報告書を日本科学史学会からのリンクを使ったインターネット上での公開ばかりでなく、冊子媒体として100部程度を作成する計画からその印刷・製本・発送費等に支弁するための次年度使用額である。2017年7月開催の国際科学史技術史会議で報告予定であった者1名が事情により出席できなくなり、ほぼその金額と同額である。
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Research Products
(11 results)