2016 Fiscal Year Research-status Report
幼児と教員のミュージアム・リテラシーを育てる学習支援ツールの開発とその効果の検証
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16K01208
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
釋 知恵子 大阪市立自然史博物館, 総務課, 博学連携担当職 (60626349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 大輔 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 主任学芸員 (90291179)
横川 昌史 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 学芸員 (30649794)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 博物館教育 / 博学連携 / 幼小連携 / ミュージアムリテラシー / 学習支援ツール / 幼児 / 教員 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)大阪市立自然史博物館に来館した幼稚園保育所子ども園(以下、幼保子ども園)、小学校1・2年生の引率教員・保育士に対するアンケート調査の実施等、博物館利用の実態調査を行った。来館目的としては、「自然の美しさや不思議さに気づかせる」「季節を感じさせる」「公共施設のルールを教える」が幼保子ども園・小学校ともに多かったが、幼保子ども園では、「気づいたことや楽しかったことなどを言葉・絵・動作などにより表現し、考える力つけたい」「子どもたちを連れてくる場所として、安心できる」ということも重視されることがわかった。また、事前・事後学習を行う団体が多く、特に事後学習は、小学校では教員による話が多いが、幼保子ども園では絵を描く・造形物を作るなどの活動が多くあげられた。また、博物館の滞在時間は、小学校1・2年生よりも、幼保子ども園の方が長い傾向があった。この他、団体見学の様子を追跡調査した。 (2)団体での来館と比較するため、博物館の子ども向けイベント参加者にアンケート調査をした。 (3)先進的な事例のある3施設(キッズプラザ大阪、伊丹市昆虫館、兵庫県立考古博物館)の視察、全国科学博物館協議会加盟館に対して幼児教育との連携事例のアンケート調査を実施した。アンケート調査では、幼保子ども園に対して課題を感じている施設が半数近くあり、展示内容が幼児向けになっていないこと、それを補うようなプログラムや資料などが不足していることが課題として挙げられた。 (4)保育所の保育士、幼稚園・小学校の教員、保育士・幼稚園教員を育成する大学教員、博物館関係者をメンバーに学習支援ツールの企画委員会を立ち上げ、検討会を2回開催した。教員・保育士として博物館に求めること、利用しやすい学習支援ツールの内容や形態など、(1)のアンケート結果などをもとに話し合い、学習支援ツールの企画の基礎を固めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幼保子ども園の博物館利用や他の博物館施設の幼児教育との連携事例調査など、基礎調査を進める1年であったが、想定していた以上に多様な回答が寄せられ、十分に調査の解析ができていない。 また、団体見学の追跡調査や他の博物館施設の視察など、学習支援ツールの企画に大きな参考になると思われる調査がまだ不足しており、次年度も継続して実施する必要があるため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)前年度の調査を継続する。:アンケート回答の分析、補足調査を実施するなど、基礎調査を継続し、学習支援ツールの開発の企画の参考にする。 (2)来館前に幼保子ども園で利用する「博物館を紹介する」ツールを開発する。:来館前に教員が幼児に見せることで、博物館がどんなところかわかるような貸し出し用学習支援ツールを作成する。形態・内容は、幼児の視聴覚に訴え、楽しめるもの、幼児教育となじみやすく、教員・保育士が利用しやすいものを選択する。 (3)来館後に博物館での思い出を振り返るツールを開発する。:来館後に博物館での思い出を振り返れるような配布用学習支援ツール「博物館の思い出シート(仮称)」を作成する。塗り絵等、幼児が遊びながら博物館での活動を思い出し、教員・保育士や保護者と話しながら、博物館での経験をより印象深いものにする。 (4)企画委員会でツール開発をすすめ、ツールの評価方法も検討する。:前年度と同様に、企画委員会を3回程度開催する。途中ツールの試作を企画委員会にかけて再考するなど、教育現場の意見を取り入れる。完成したツールについての次年度以降の評価方法についても検討する。
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Causes of Carryover |
他の博物館施設の視察や、学会等での情報収集等が近接地だったため、想定していたよりも、旅費を使用しなかった。 幼保子ども園の来館時調査など基礎調査が少し遅れており、人件費・謝金に残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
他の博物館施設の視察、幼保子ども園の来館時調査など、前年度の補足調査を進める予定であり、次年度使用額に含めて、使用していく。また、前年度、十分にできなかった学会発表等、研究発表の旅費等にも使用する。
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Research Products
(1 results)