2018 Fiscal Year Research-status Report
極限状態で高次認知機能を維持するための基幹脳活性法の開発と臨床応用
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16K01307
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
片桐 祥雅 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所グリーンICTデバイス先端開発センター, 研究マネージャー (60462876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 靖弘 放送大学, 教養学部, 准教授 (10422403)
瀬藤 乃理子 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (70273795)
坊垣 友美 東京純心大学, 看護学部, 教授 (00469545)
光吉 俊二 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (30570262)
小野 くみ子 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (30467667)
矢野 美紀 広島都市学園大学, 健康科学部, 教授(移行) (80347624)
今井 絵美子 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (20827589)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 免疫システム / サイトカイン / 免疫グロブリン / 睡眠 / 認知機能障害 / 深部脳活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠覚醒障害による極限状態の疾患リスク及び高次認知機能障害メカニズムを検討し、以下の結果を得た。 疾患リスク:知識蓄積型推論データベース技術を用いて極限状態の疾患リスク因子抽出を行った結果、睡眠覚醒障害により誘導される炎症性サイトカイン、IL-6が細胞免疫を阻害し発癌リスクを高めると同時に随伴するB細胞活性化が冠動脈疾患のリスクをも高めることを導出した。さらに、この炎症性サイトカインは転写因子NF-κBを活性化し代謝障害を誘導し得るが、免疫系破綻と直接的因果関係にはないことを導出した。これらの結果は、シフト勤務看護師にフラミンガムリスクスコアの有意な高値が認められなかったこれまでの調査結果を説明するとともに、免疫システムの変容が極限状態の疾患リスク因子となり得ることを示唆した。また、短時間睡眠となる分娩直後の母親に対する血糖値モニタリングでは有意な血糖値上昇を認めなかったことから、極限状態での炎症性サイトカイン産生にステロイドホルモン分泌を誘導する交感神経系が強く関与することが示唆された。 高次認知機能障害メカニズム:常に刺激に対して動作を行う改変した選択的抑制課題を実施した結果、従来よりも有意にコミッションエラーが増大していた。この結果は、高次認知処理を遂行するためには被刺激性のエラーを抑制するヒューリスティック処理が重要であり、前頭前皮質-背側前部帯状回結合による意思決定が基盤にあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、睡眠覚醒障害に誘導される心身の極限状態で発生する高次認知機能障害のメカニズムを解明し有効な防止策と、随伴する疾患リスクの低減策を創製することを目的とした。この目的に対し、高次認知機能障害のメカニズムの全容をほぼ解明し、有効な対策(深部脳賦活)の見通しも得た。また、疾患リスクについても、生理指標の異常値に表れ難い免疫システムの変容である可能性を突き止めた。こうした知見を検証するためシフト勤務看護師を対象とした臨床試験を予定していたが、研究協力者の健康上の問題から試験実施を延期し、研究実施期間を1年延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
シフト勤務看護師を対象とする臨床試験により、深部脳活性化の疾患リスク低減効果を検証する。深部脳賦活効果(ハイパーソニックエフェクト)の音環境を看護業務に影響しない工夫の下に提供し、免疫を中心とするバイオマーカ(サイトカイン、免疫グロブリン等)の継時的変化により疾患リスク低減効果を検証する。なお、炎症を抑えるサプリメント(オメガ3)のアジュバント作用も並行して検討する。臨床試験実施機関として、引き続き研究協力者の所属機関(枚方公済病院)を選定するほか、リスクヘッジとして同病院と同程度の病床数を有する南町田病院を選定する。介入期間としては3か月程度とし、2週間毎に脳波による非侵襲深部脳活動度評価を中間評価として実施し、試験の最適化を図る。
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Causes of Carryover |
理由: 研究協力者の健康上の問題から当該年度に予定していた臨床試験の実施を延期した。試験に必要な生理計測消耗品は使用期限があるため、新たな試験実施計画に基づき購入を延期することとし、経費を節約した。 使用計画: 疾患リスク評価のため、連続血糖値センサー、唾液免疫グロブリン検査試薬等の生理計測消耗品を購入するほか、白血球プロファイル、血漿サイトカイン濃度等血液を試料とするいくつかの検査項目については外注する費用に充当する。
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Research Products
(7 results)