2017 Fiscal Year Research-status Report
音響放射力インパルスが肺およびその周囲組織に及ぼす影響
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16K01418
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
笹沼 英紀 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90511709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 信行 自治医科大学, 医学部, 教授 (10245053)
小形 幸代 自治医科大学, 医学部, 講師 (10448847)
石黒 保直 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10646326)
新田 尚隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (60392643)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肺胞出血 / ARFI / 肺損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本白色種ウサギ(3kgオス) を用いた動物実験を実施した。全身麻酔下に仰臥位で前胸部と腹部を除毛し、呼吸に伴う照射位置の変動を極力減らすため気管切開をして照射時の呼吸調整をした。平成29年度は、Bモード画像を確認しながら狙った場所に正確に音響響放射力を伴う超音波(ARFI)を照射できる動物実験用新システムを導入することができた。新システムでは、Bモード画像で狙いをつけた場所に任意の音圧でパルス持続時間やフォーカス位置を設定しARFIを照射することができる。導入前は、ウサギ8羽に対する照射で5羽の胸膜直下にRed spotを認め、組織学的に肺損傷の所見を得てはいたが、照射部位が損傷部位と一致しているかの確証が得られなかった。今回、新システムを導入し、ウサギ5羽に対し、①前胸部肋間から10カ所、②上腹部肋骨弓下に経肝的に10カ所照射を行った。照射条件は、これまで肺損傷を報告してきたパルス持続時間(PD)10msから、より臨床使用に近い0.3-1.0msに下げて設定した。またMechanical Index (MI)は、最大音響出力の安全基準上限である1.9を下回る1.2以下に設定した。①②に各々7カ所、6カ所、照射部位に一致して胸膜直下にRed spotを認めた。組織学的には、いずれの部位も肺胞出血の所見であることが明らかになった。気胸や血胸といった生死に関わる合併症の発生はなかった。より臨床に近いPDとMIの設定で、肺に肉眼的、組織学的損傷が生じることが明らかになり、今後そのメカニズム等に関して検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Bモード画像を得ながら音響放射力を伴う超音波(ARFI)を意図した場所に照射することのできる新しい動物実験用のシステムの導入が遅れたため、機器の調整などに時間を要し、まだサンプル数が少ない状況である。実験は現在軌道に乗り順調にサンプル数を増やしているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験用の新システム導入により、音響放射力を伴う超音波(ARFI)を肺の意図した場所に照射できるようになった。今後は、照射条件を更に実臨床に近づけ、サンプル数を増やすことが目標である。また、これまではARFI照射後にウサギを犠牲死させ肺を摘出したのち、肉眼的所見で肺胞出血の有無を確認し、さらに顕微鏡的に肺に損傷が生じていることを確認してきたが、今後は照射直後にCT、MRIを撮影し放射線学的評価を追加する予定である。ARFI照射後にCT、MRIで肺胞出血の所見が得られるか、本年度は検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
Bモード画像を見ながらARFI照射のできる動物実験用の新しいシステム開発、導入に時間かかり動物実験のサンプル数を増やすことができなかった。このため実験自体に消費するはずの費用が次年度に繰り越された。
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