2016 Fiscal Year Research-status Report
ライフレビューシートとメモリースライドを用いた回想法に関する研究
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16K01563
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
浅野 朝秋 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 講師 (30550537)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ライフレビュー / インタビューシート / 回想法 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症高齢者に対するライフレビューに関して、対象者をよく知る人物や熟達したインタビュアーがインタビューしない場合でも、回想法に利用できる情報がある程度確保できるようなインタビューシートを作成する目的で、6月頃までは先行研究文献を調査した。当該文献類を参考にして、認知症高齢者の長期記憶が保たれている可能性が最も高い、若い頃に焦点化したインタビューシートを試作した。次の段階として、試作したインタビューシートを実際に数名の被験者に対して使用するパイロット研究を秋ごろまで実施し、インタビューシートに対象者が若いころの時代背景の説明や、回答がまく得られないときの方策を加える等の改善を加え、ひとまず完成をみた。 冬季以降は、開発したインタビューシートの妥当性や有効性を検証するために、研究に同意をいただいた被験者の方に対して、ライフレビューインタビューを実施し、データを収集している。また、インタビューシートの妥当性や有効性の指標としては、①対象者をよく知る方によるインタビュー、②初対面の若い方によるインタビュー、③同じく初対面の若い方が今回開発したインタビューシートを使用して場合、以上3条件によるインタビュー結果を逐語録に落とし、それぞれの条件下における有効語彙数をカウントして比較評価する方式とすることを決定した。 並行して、研究協力施設および被験者の確保も、平成28年度中に解決すべき課題であった。具体的には被験者を30名程度確保する予定であったが、同意書を得られた方は、現在は半数程度に留まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
被験者確保が最も遅れている。この影響を受けて、データの収集もやや遅れ気味である。その理由としては、3点ほど考えられる。1点目は協力施設側がイニシアティブをとって被験者の選定からご本人・ご家族の同意迄進めている場合は、どうしても施設都合により進捗が遅くなりがちである。2点目は、研究責任者の所属施設の異動により、研究実務に携わる期間が少なくなり研究業務が遅滞したことである。3点目に、進捗が遅くなり冬季にさしかかったことで季節性の感染症の流行時期にあたり、データ収集が春まで困難になったことである。 これらに対しては、研究協力者を含む研究者側がイニシアティブをとって被験者確保が可能な施設中心に、研究に対する協力を依頼することで解決を図りたい。また、平成29年度より研究分担者を2名置いたことで、手分けしてそれぞれの地区でインタビューにあたることが可能になるため、効率的なデータ収集および解析が可能になると考えられる。また季節的な要因に関しては、気候の良い時期にあたるため大きな支障にはならないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、同意書をいただいている被験者の方々に対しては、少なくとも初見条件によるインタビューに関しては6月末を目途にインタビューを完了させるものとする。このため、必要なアルバイト協力学生の確保を急ぎたい。また、新規に研究にご協力いただく被験者の確保については、一施設当たりの同意者が多く見込まれる施設から優先的に依頼する。目途としては施設数として3施設程度、被験者として十数名程度、新規にご協力いただきたいと考えている。インタビューが終了した段階で、逐次インタビューシートの評価に取り掛かる。インタビュー全体の終了を8月程度を目途とし、上半期中に評価を終了したい。これと並行して、逐語録の内容をは逐次集約し、各被験者個々人のデジタルアルバムの作成に着手する。これを今年度下半期に完了させたい。また、デジタルアルバムを用いた回想法の具体的な施行方法と評価手段を策定し、パイロット施行までは今年度中に完了させる予定とする。 また昨年度に得られた知見に関しては、今年度の学会等で報告の予定である。また来年度に関しては、上半期はデジタル回想法の実施とそのデータ集約および分析を行い下半期にはその結果を各種学会や論文として発表していく予定である。
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Causes of Carryover |
被験者確保が遅延したことを主とするデータ採取の遅れにより、データ採取にかかる旅費や人件費の当該年度内使用額が見込みより少なくなったので、次年度への繰越額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に持ち越した分のデータ収集に関わる費用分として、繰り越し分を使用する見込みである。
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