2016 Fiscal Year Research-status Report
深度センサによる人体および環境のリアルタイム計測を基にした生活支援技術の研究
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16K01581
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
田中 雅博 甲南大学, 知能情報学部, 教授 (70163574)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 体操評価 / 深度センサ- / 関節検知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、深度センサを使って、健康づくりや病後のリハビリ、ロコモティブシンドローム予防、視覚障碍者のための障害物検知など安全などの視点から生活を支援する技術を様々な応用から開発するものである。深度センサは、環境中に設置する場合と、人に装着して、移動時の検知を目的とする場合を想定している。 環境中に固定・設置するタイプのシステムとしては、ラジオ体操のような音楽に合わせて行う体操に限定することで、共通的な基盤システムを作成中である。従来から、ラジオ体操第一について、図解をもとにして、人手により模範姿勢における1拍毎の十数個の関節角度を定義しデータとして持たせ、それをお手本として、体操プレイヤーの演技を採点するシステムは作っていたが、初年度は、実際に行った体操データの1つを模範体操として登録し、その後、その模範体操とプレイ中のデータを比較して評価するシステムのプロトタイプを作成した。ここで開発したシステムは、体操全体を構成する個々の体操の数や拍数などを設定する若干の作業を追加すれば、類似の他の体操に適用可能であるため、基盤技術として位置づけることができ、今後、多くの種類の体操やダンス、踊りなどにも適用可能なものの基礎を作ったという意味で重要である。また、それとは別に、特定の姿勢を取るまで次に進めないような、静的な姿勢評価システムも作成した。これら2種類のシステムは、本プロジェクトの重要な柱となっている。 センサ装着型については、従来から開発してきたアルゴリズムの整理・確認を行い、関連実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、センサー固定型のシステムの研究に大きな成果があった。初年度は主としてセンサ固定型のシステム、特に、体操評価システムについては、基盤構築が順調に進んだ。 【センサ固定型】のシステムについて、(1) Kinectの持っている関節(BODY)検知機能関節座標と、深度センサによる値の関係を明確にし、誤差を評価するという点については、モーションキャプチャシステムを利用して、腕や肩など、評価に重要なポイントについて誤差を調べた。(2)模範演技を採点の際の教師データとするということについては、ボタン一つで実行できるようになった。また、指導員の体操を模範データにして使って採点してみると、本人は非常によくマッチし、また、ほかの人でも、よい体操と思われる体操では高得点が出、そうでない体操では低い得点となるなど、望ましい結果が出た。ただ、BODY機能で不得手としている、手を下ろしたり、後方に振り上げるなどの姿勢では、関節が正しく検知できないというKinectの欠点は解消していない。(3) 姿勢評価システムについては、任意の姿勢(関節角度で定義)についてOpenSIMというフリーソフトを用いて姿勢を目視で確認して定義、それを画面に表示。プレイヤーはその姿勢をとり、Kinectにより角度を評価するという内容のシステムを試作した。 【センサ装着型】については、装着可能なセンサの選定と処理用PCの検討が必要である。まず、PCとして、現システムが比較的容易に移植でき、かつ、腰に装着可能なStick PCでの検討を行ってきた。 (2)アルゴリズムの洗練化」路面の検知とそれによる路面上の障害物や穴の検知、路面の検知、その他の障害物の検知アルゴリズムを改良した。
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Strategy for Future Research Activity |
体操評価システムについては、初年度、基盤システムとして構築してきたものを、さらに多機能にする。具体的には、現在、14個の関節角度のみの評価対象に加えて、ジャンプの有無や指の開閉、あるいは、関節の移動速度なども評価しなければならない。姿勢によっては評価がうまくできない点、具体的には、手を下におろしたり、斜め後方に振り上げたりする姿勢で正しく関節検知ができていない部分の対処方法を考える。 姿勢を評価するシステムにおいては、立ち姿のバランスをチェックする基本的な静的評価システムのほか、お辞儀の姿勢や歩く姿、さらに、手足の動き速度を含めて評価するものなども検討する。これにより、自分で日常生活の様々な場面での姿勢をチェックすることができるようになる。 後遺症のリハビリ用として、SIAS(脳卒中機能障害の評価)にも取り組む予定である。その中で、腕や足の動きは、KinectのBODY機能をベースにし、指の動きにはLeap Motionを用いる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度以降、研究発表のために外国出張など、高額の予算が必要になることが考えられるので、初年度は節約に努めた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
おおむね、当初の予算どおりに執行していく計画である。節約した金額は、2年目、3年目の予定外の支出があったときに対応するつもりである。
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