2016 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ・ツーリズムの地域的展開に関する実証的研究
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16K01692
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
前田 和司 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30229299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 周祐 東北福祉大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00634221)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スポーツ・ツーリズム / 地域生活課題 / 山村 / アクションリサーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①総合保養地域整備法によるリゾート開発ブーム以後の調査地H地区におけるスポーツ・ツーリズムの展開が、地域の生活課題とどのようなかかわりを持って展開し何をもたらしたのかを地域住民の側から明らかにすること、②H地区における新たなスポーツ・ツーリズムの企画・実践を通じて、農山村の直面する生活課題とスポーツ・ツーリズムが連関していくために、いかなる要件が求められるのかを明らかにすることである。そのうち平成28年度の研究計画は、H地区の環境や生活課題、歴史、生活文化に関する基礎的調査を実施することであった。 平成28年度には、3回(計8日)のH地区での打ち合わせおよび現地調査を実施した。6月にはH地区長およびキーパーソンに本研究について説明するとともに実施計画を協議した。12月にはH地区の基礎的データを収集するとともに、2月に実施するアウトドア・スポーツ資源および生活文化調査の実施について協議した。そして2月には当該調査を現地3日間にわたって実施し、データを資料化した。 また、スポーツ・ツーリズム、エコツーリズム関連の文献により、近年の研究動向および現状について把握した。その結果、スポーツ・ツーリズムの担い手は移住者であることが多く、しかも近年、その担い手と地域住民共同による生活課題克服の試みも始まっていることが明らかになった。そのため、H地区の現状を相対的に理解するための基礎的データを得るために、それらの先進地域調査を2度にわたって実施した。 今後、文献および先進地域での取り組みを見すえながら、H地区でのスポーツ・ツーリズムの企画段階に移り、アクションリサーチの準備を進めるが、調査の経過が良好なため、すでに企画の概要についての検討もはじめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず本研究を進めていくうえで最も重要であるH地区の区長、副区長等、リーダー層との研究への説明および関係づくりが順調に進んだことが挙げられる。それによって、現地のアウトドア・スポーツ資源と生活文化の調査をスムーズに実施することができた。その調査を通じて、H地区の様々な組織、団体、個人との関係構築も行うことができ、平成28年度では予定していなかった、アクションリサーチの企画概要の検討にまで進むことができている。また、文献研究による情報収集を通じて、他の農山村においてスポーツ・ツーリズムの新たな展開を知ることになり、当初予定していなかった先進地調査を実施することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、当初の研究目的および研究計画を踏襲しつつ、以下のように勧めていく予定である。 ①H地区におけるアウトドア・スポーツおよび生活文化の調査のさらなる実施。前回の調査は冬季であったため、春から秋にかけても継続的に行う必要がある。 ②アクション・リサーチを企画し実施する。平成29年度4月より、北海道教育大学岩見沢校アウトドア・ライフコースの学生有志とともに、前回の調査結果をもとに実施可能なアウトドア・スポーツツーリズムのプログラムの企画をはじめる。そして秋を目途として、そのプログラムをアウトドア関連に勤務する卒業生を顧客としてH地区で実施し、その意見をフィードバックさせ、次への展開に結びつける。 ③文献研究において、最新のツーリズム研究の知見を収集する。 ④平成28年度に実施した先進地域調査を29年度前半で終え、その結果を報告書あるいは論文にまとめ、アクションリサーチに還元する。
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Causes of Carryover |
ひとつには、研究分担者の東北福祉大学・村田周祐氏が、平成28年度、自らが研究代表者となっている科研費の研究があり、本研究に従事することが困難であったため、分担金配分について支出がなかったことによる。 またもうひとりの研究協力者であった筑波大学・松村和則氏は、平成28年3月に筑波大学を定年退職した。そのため松村氏には分担金配分をせずに、北海道教育大学からの旅行依頼という形で支出をすることにした。そのため物品費等の支出がなかった。さらに松村氏は、3度あった打ち合わせ、調査にも参加したが、そのうち2度については旅行命令の手続きを辞退したため、旅費の支出も少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度については、村田氏が別の大学に移ったため当面多忙であり、29年度の分担金配分を辞退したため配分は行わない予定である。 松村氏については、筑波大学名誉教授であるため、筑波大学において予算管理・執行等の手続きを行うことが確認できれば、平成29年度の分担金配分を行う予定である。 またアクションリサーチを始めることになると、調査地への出張や研究分担者との打ち合わせなど出張の回数も、計画当初よりも増えてくることが見込まれる。
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Research Products
(3 results)