2017 Fiscal Year Research-status Report
運動負荷強度が脳性麻痺者の脳及び筋疲労に及ぼす影響について
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16K01696
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
石塚 和重 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (40350912)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳性麻痺者 / 健常者 / 運動 / NIRs System / 脳疲労 / 筋疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳性麻痺者の運動パフォーマンスを改善するための要素として、筋力や持久性能力が重要である。また、脳性麻痺者は運動における脳や筋疲労が運動パフォーマンスに大きな影響を与えていると予想される。今回は脳性麻痺者の運動が脳性麻痺の脳及び筋疲労にどのような影響を及ぼしているのかという点について、筋力に対して等速性運動負荷試験、重錘負荷試験、及び持久性能力として心肺運動負荷(自転車運動負荷)試験、無酸素性運動負荷試験を実施し、運動が脳性麻痺者の脳及び筋疲労について運動後の酸素濃度回復速度に着目して検討する。方法としては近赤外線分光法(Nirs)を用いて健常者と脳性麻痺者について比較検討する。 本研究は運動負荷強度が脳性麻痺者の脳及び筋疲労に及ぼす影響について「疲労」という観点から解明することを目的としている。 研究実施計画として、平成28年度、29年度に健常者と脳性麻痺者を対象として、1.等速性運動負荷試験:多機能筋機能測定装置(Biodex4)に着座した状態で等速性運動300°/sec、180°/sec、60°/secの異なる等速性運動負荷での膝関節の伸展・屈曲運動の実施。2.重錘負荷試験:着座した状態で重錘を利用した膝関節の伸展時での等尺性運動による負荷試験の実施。3.心肺運動負荷試験:自転車エルゴメーターによる50~60rpm(回転)の速度を維持した状態で、徐々に負荷をかけて漕いでいき、ペダルのスピードが維持できなくなった時点または本人が限界を感じた時点で負荷試験は終了するという検査の実施。4.無酸素性運動負荷(ミドルパワー検査)試験を自転車エルゴメーターを使用して30秒間出来るだけ早く漕ぎ続けるという無酸素性運動負荷試験を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実施計画として示されている平成28年度は予備検査(パイロットスタディー)として実施している。予備検査によって、脳性麻痺者については等速性運動負荷試験や重錘負荷試験は可能であるが、固定用自転車エルゴメーターを用いた心肺運動負荷試験や無酸素性運動負荷試験は脳性麻痺者の個々の身体能力によって左右され、心肺運動負荷試験ではペダルを1分間に50~60rpm(回転)の速度で維持した状態で、徐々に負荷をかけて漕いでいくことが困難な脳性麻痺者もあり、かなり難しい課題であることを理解できた。本格的に測定が開始されたのは平成29年度になってからである。 平成29年度は健常者を中心として等速性運動負荷試験や重錘負荷試験、無酸素性運動負荷試験を進めてきた。持久性能力としての心肺運動負荷(自転車運動負荷)試験は有酸素運動測定機器の不具合もあり実施することができなかった。有酸素運動測定機器についても修理は平成30年3月末に完了しており、検査が可能な状態になっている。 今後、脳性麻痺者と健常者の数を増やして検査を進めて行く。脳性麻痺者については1.等速性運動負荷試験 2.重錘負荷試験 3.心肺運動負荷試験(自転車運動負荷)4.無酸素性運動負荷試験(自転車運動負荷としてのミドルパワー検査)の4つの検査を可能な限り実施し、得られたデータを分析して行きたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、本来予定している4つの検査としての1.等速性運動負荷試験 2.重錘負荷試験 3.心肺運動負荷試験(自転車運動負荷)4.無酸素性運動負荷試験(自転車運動負荷としてのミドルパワー検査)の検査を健常者と脳性麻痺者の数を増やして検討していく。 運動が健常者や脳性麻痺者の脳及び筋疲労についてどのように影響を及ぼしているのか、近赤外線分光法(Nirs)を用いて得られたデータを分析し、健常者と脳性麻痺者について比較検討して明らかにしていく。 今回の研究の成果は日本理学療法士学会や日本障害者スポーツ学会、医療体育研究会等で発表していく。
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Causes of Carryover |
本研究においては本来科研費で購入予定であった無酸素性運動機器の購入が当大学研究経費によって購入できたことによって物品費が削減できたこと及び平成29年度は健常者だけの謝金のみで済んだことが次年度使用額に影響が生じた理由である。平成30年度は脳性麻痺者の被験者を中心に研究を進めて行く。被験者は全国各地から依頼しているため、介護者を含めた旅費と謝金及び実験補助者の謝金での支出を予定している。
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