2017 Fiscal Year Research-status Report
金メダル獲得のための新たな技術分析と指導法の提言~「屈身ベーレ」を例に~
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16K01706
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
原田 睦巳 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (40365565)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 体操競技 / コーチング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、研究初年度であり、本研究課題である「屈身ベーレ」及び「ベーレ」の実験を主とし、仮予備実験、予備実験を経て本実験までを行った。得られた原資料を基に動画処理ソフトFrame Diasを用いて2次元の座標から得られた数値を基に各角度測定を行い、加えて動画処理ソフトForm Fiderを用いて各運動局面のトレース画像の作成を行った。 平成29年度は、28年度で得られた研究結果を基に、本研究課題である「屈身ベーレ」及び「ベーレ」の技術的特性及び熟練者の技術的傾向を明らかにするための考察を主として研究を行った。 その結果得られた内容としては、Frame Diasを用いて2次元の座標から得られた客観的数値を基に考察した場合、熟練者間の比較としては有意差はみられず、有意な傾向も見出すことが出来ない状況であった。しかしながら、熟練者と未熟練者とを比較した場合、「ベーレ」を研究対象とした時には、ほとんどの運動局面において有意差がみられた。 一方、運動学的見地からの考察では、上記と同様に熟練者間の比較としては動きに顕著な差はみられなかった。しかしながら、熟練者と未熟練者とを比較した場合、「ベーレ」を研究対象とした時には、他者観察報告において「質の高い動き」との評価がなされ、モルフォロギー的観点における質的把握のカテゴリーから考察をした場合においても、多くのカテゴリーにおいて有効な技術的傾向がみられることが示唆される結果となった。 上記の結果及び考察から、現状では、【1.倒立位から振り下ろす局面】【2.離手時及び1回転目の宙返りが始まる局面】【3.宙返り局面から腕支持へ移行する局面】の3局面において、自然科学的見地及び運動学的見地で有効な技術的特性がみられる結果とであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画においては、平成29年度において「屈身ベーレ」及び「ベーレ」の技術的特性及び熟練者の技術的傾向を明らかにし、介入指導の準備が滞りなく進捗する予定であったが、28年度の実験時に被験者1名の実験を実施出来なかったことや、「屈身ベーレ」及び「ベーレ」の技術的特性を見出すことが困難であり、いずれも類似した傾向が現れたことからその技術の特性を見出すことに時間を費やしている現状である。 本年度は、より深く考察を加え洞察する事により、その技術的特性を明らかにし、早急に介入指導へと移行する事とし、若干遅れている現状を改善するように努める。
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Strategy for Future Research Activity |
上記進捗状況にも記載したとおり、若干の遅れが生じているため、交付申請書の研究計画書の記載内容に合致するべく、研究を推進させていくように努める。 具体的には、早急に技術的特性を明らかに介入指導の実施及び並行して指導方法の立案についても検討するように努める。 上記から得られた考察内容を精査し、本研究の総合的な取り纏めへと進行し、社会に公表する準備を整えるように準備を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成29年度は、他所属へのトップアスリートにおける調査を各競技大会を通じて調査を行う予定であったが、2017年度より国際体操連盟の採点規則が変更となり、「屈身ベーレ」の実施頻度が減少傾向にある事から旅費については大幅な減額となった。また、研究によって得られた知見から介入指導を開始する予定であったが、1名の被験者の実験が遅れ、全体的な研究デザインに遅れが生じていることから次年度使用額が生じた。 (使用計画) 本年度は、研究に遅れが生じている部分の解消に努め、早急に介入指導へと移行する予定である。よって、被験者への滞りないフィードバックを可能とするため、基本的には紙媒体でのフィードバックを予定しているものの、素早いフィードバックを検討した場合に電子媒体(タブレット端末)の再購入の検討も視野に入れる。また、実際のデータ処理やトレース画像の読みこみ等、平成28年度購入のノート型PCでは処理速度(機械的・人的両面)が大幅に遅れるため、デスクトップ型PCの購入及び、実験協力者を募り、画像処理速度の速いノート型PCの追加購入を検討して、研究推進を加速させるように努める。
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