2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01711
|
Research Institution | Kanazawa Seiryo University |
Principal Investigator |
大森 重宜 金沢星稜大学, 人間科学部, 教授 (90213868)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 貴志 金沢星稜大学, 人間科学部, 准教授 (10610735)
佐々木 達也 金沢星稜大学, 人間科学部, 講師 (30758115)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | キリコ祭り / 日本遺産 / 山・鉾・屋台行事 / ユネスコ無形文化遺産 / 身体技法 / 身体運動文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
「日本遺産キリコ祭りのスポーツ人類学的研究」を研究テーマとして能登半島の祭りを対象として文献調査とフィールドワークを行ってきた.その研究成果として臺北師範大学で開催された2017體育政策與休閒觀光國際學術研討會において「和文:能登半島の綱引き祭りとキリコ-堀松住吉神社綱引き祭りの事例-」として発表した.キリコの成立の要因の一つは堀松住吉神社の綱引き祭りを賑やかす御燈などが大型化,あるいは身体運動化(担ぎ出す,舁き出す)の結果であり,綱引き祭りは東南アジア,九州,能登輪島から伝播したエスニックスポーツである.その歴史的背景には治水を願う竜神信仰があることが明らかとなった.またこのテーマで臺灣身體文化学会身體文化學報に投稿,3月に受理された. 2016年12月,能登半島最大の祭り「青柏祭の曳山行事」(通称でか山)がユネスコの無形文化遺産された.「青柏祭」に奉納される日本最大の山車の曳行を日本遺産キリコ祭りと同様に身体運動文と捉え,身体性と神聖性,遊戯性の観点から調査を行い,青柏祭の曳山行事のエスノグラフィーとして研究を行ってきた.この巨大な山車曳行の曳行技法,身体技法,身体と心性について検討し,第86回日本体育学会(静岡大学)で「祭りの身体性と真正性」として発表した.また青柏祭に関して,比較でとらえる世界の諸相 (シリーズ比較文化学への誘い)「青柏祭曳山行事をつなぐ 祭礼組織と曳行技法 日本最大の山車に共存する神聖性と遊戯性」として英明企画より2018年7月に出版される. また2018年は能登國建国1300年にあたり,研究の成果を七尾市文化協会やラジオ七尾・高岡での公開講演等で多数回発表してきた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究調査計画は,①日本遺産,能登半島「キリコ祭」をエスニックスポーツと捉え,その歴史と変遷の調査:各祭りの由来,歴史と変遷,祭りの伝播,伝承の調査.②社会構造と年中行事調査:各地域の産業構造,人口動態,歴史的に行われている年中行事と各種イベント調査.③祭りの組織の変容と実態:各祭りを行う組織,所役,祭りの行事日程,内容の調査.④参加者の祭りに対する意識と態度:祭りが参加者および地域に及ぼす影響について専心度尺度の調査.⑤リーダーシップ調査:祭りのリーダー役(祭総代,若衆頭等を対象)の実態調査.⑥神事との関係:祭主が神事で奏上する祝詞などからキリコと神事の関係を調査.であった.この内④⑤の専心度尺度調査,リーダーに対する聞き取り調査は完了していないが,概ね予定通りに進行している.また2016年,ユネスコの無形文化財に登録された能登地方最大の山車祭り「青柏祭の曳山行事」に関しても新たにフィールドワークを行い,キリコ祭りとの比較研究を行っている.
|
Strategy for Future Research Activity |
キリコ祭りを身体運動文化(physical arts)と捉えその神聖性と遊戯性,身体性から真正を探り,日本遺産キリコ祭りのエスノグラフィーを完成させる.キリコ祭りに関するこれまで行ってきたフィールドワーク調査,文献研究の集積,また今後収集するデータを基にその神聖性,遊戯性の観点から検討する.そして各キリコ祭りの起源や変容,衰退と再興などの状況を比較することによりその要因を明確にする.一方,日本最大の山車が曳行される,ユネスコ無形文化遺産に登録された能登地方最大の山車祭り「青柏祭の曳山行事」との比較文化研究を行う.担ぎ,舁くキリコ祭りと巨大な山車を曳く山車祭りの社会的,文化的背景を探る.これにより身体運動文化としての祭り研究に新たな知見が得られると思われる.これらの成果から地方創生と身体運動文化「祭り」の関係を明らかにする.
|
Causes of Carryover |
計画通りにデータは集積されてきたが,最終的な比較のための収集が未完であったため人件費を使い切らず,最終的データ分析を次年度とした.また,旅費に関してオーストラリアでの国際学会に参加しなかったため.本年はオーストラリア(SMAANZ)に参加し発表する経費に充当する.
|
Research Products
(3 results)