2018 Fiscal Year Annual Research Report
Sports anthropological study of Japanese heritage Kirico Festival
Project/Area Number |
16K01711
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Research Institution | Kanazawa Seiryo University |
Principal Investigator |
大森 重宜 金沢星稜大学, 人間科学部, 教授 (90213868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 貴志 金沢星稜大学, 人間科学部, 教授 (10610735)
佐々木 達也 城西大学, 経営学部, 准教授 (30758115)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | キリコ祭り / 身体運動文化 / 風流(ふりゅう) / 身体技法 / 地方創生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年に日本遺産に認定された「キリコ祭り」を身体運動文化(Physical Arts)と捉え、キリコの華美化、巨大化する過程、身体技法、またその機能、構造、意義を明らかにすることを目的として文献調査、フィールドワークを行った。祭りでは巨大なキリコ(最大15m,2t)を約200の地区で1000基を囃しながら舁き、担ぎ出す。キリコは祭の祭神が神輿で渡御するのに対し、祭りに去来する神々の依代としての移動式神座である。またキリコは、神を導く標、神輿を照らす行燈、大提灯としての目的を持つ。 能登では日常と非日常の二つの身体の方法が結合した文化の伝統が受け継がれてきた。能登の人々は勤労を尊び、各自競技的に労役に耐えることを誇りとし、1日13~15時間の勤労を競い合う風土があった。余暇では芝居、寄合い相撲、番持ちが行われ、この労働、遊びの風土により培われた強靭な身体は、ハレの祭りで祭具としてキリコを担ぎ出す。 能登の祭りは少子高齢化、過疎化、労働形態の変化により急激に変容している。厳しい肉体的労働により作られた祭りのハレ身体を失いつつある。現代人は、担ぎ、舁くといった地力が低下し、身体運動文化としての祭りへの適応が困難という神輿やキリコを担ぐ祭りの身体を失う。そして身体運動文化としての祭りを楽しみと捉えられなくなる。元来、社会的・文化的に作られる身体が心性に影響を及ぼす。従って祭りの身体の心性が如何に変化するのかについての検討が必要となる。また、限界集落化は、地域のシンボルとしての祭りの形骸化、縮小化、中断、消滅へと連鎖し、不活宗教法人を増加させ、最終的に集落の消滅につながる。その現状を追跡記録することが今後の課題として残される。しかし小規模ながら風流を維持する祭りも存在し、この状況調査を継続することにより限界集落化対策、地方創生のための基礎データとすることが期待できる。
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Research Products
(4 results)