2016 Fiscal Year Research-status Report
思春期女子生徒を対象としたメンタルヘルスリテラシー教育プログラムの開発
Project/Area Number |
16K01778
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
石村 佳代子 常葉大学, 健康科学部, 准教授 (40295564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 典子 常葉大学, 健康科学部, 講師 (90338004)
毛利 智果 常葉大学, 健康科学部, 助手 (70757103)
影山 セツ子 常葉大学, 健康科学部, 教授 (00290479)
佐瀬 竜一 常葉大学, 教育学部, 准教授 (10441114)
伊東 明子 常葉大学, 教育学部, 教授 (10308687)
太田 正義 常葉大学, 教育学部, 講師 (10635048)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 思春期 / メンタルヘルスリテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、思春期女子生徒を対象にしたメンタルヘルスリテラシー(MHL)教育プログラムおよびその教材を開発することである。既に研究者らが考案したMHL教育プログラムの8つのテーマについて、生徒への提供方法を検討した上で、初年度に臨んだ。 初年度は、思春期女子生徒がこころの不調の予防に心がけ、こころの健康への関心を高めることができるよう、4つのテーマ(ストレスとストレスケア・ストレスケアの体験・こころの病気・精神障がい者の体験談)について、2回の授業によるMHL教育プログラムの開発を試みた。これらを「こころの健康に関する教育プログラム」として、2回の授業を女子中学・高校生に実施し、その効果を検証した。 研究参加に同意の得られた女子中学・高校生(介入群27人、対照群17人)を対象に、2回の授業を介入群に実施した。また、1回目授業開始前と2回目授業終了後にアンケート調査を実施した。調査内容は、1.こころの健康への関心度、2.MHLの測定の2種類を実施した。MHLの測定は、思春期年代によくみられる不安症の架空事例を研究者らが作成し、事例に関する質問事項への回答を求める形式とした。 調査の各項目の記述統計算出後、実施時期(プレテストとポストテスト)の2水準と群(介入群と対照群)の2水準を独立変数、各項目の平均値を従属変数とする、混合計画の2要因分散分析を行った。 その結果、項目「Aさんのような問題はストレスが関係している」については、交互作用が有意であった(F(1 ,42 )=7.60,p<.01)。そこで、単純主効果の検定を行った結果、ポストテストにおいてのみ、介入群の平均値が対照群の平均値より高いことが示された(p<.05)。このことから、今回のMHL教育プログラムによる2回の授業は、こころの問題とストレスの関係に関する研究参加者の認識を高める可能性があると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的に即して、初年度は思春期女子生徒がこころの不調の予防に心がけ、こころの健康への関心を高めることができるよう、4つのテーマ(ストレスとストレスケア・ストレスケアの体験・こころの病気・精神障がい者の体験談)について、2回の授業を実施するMHL教育プログラムの開発を試みた。当初の計画では、4つのテーマの授業実施は平成28年度下半期と平成29年度上半期に計画していた。したがって、半期分の前倒し実施となり、(1)当初の計画以上に進展しているとしたいところである。 しかしながら、今後の研究協力校の複数化計画を実現するためには、研究者らのネットワークを利用した慎重で丁寧なリクルートを中学・高校側にしていく必要がある。そのため、MHL教育プログラムの開発と並行した研究協力校のリクルートに時間を要すると予測され、このことを考慮し、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究当初に考案していたMHL教育プログラムの8つのテーマの残りの4つのテーマ(こころの働きと健康的な生活・対人関係・こころとからだと生活習慣・学びの振り返り)のプログラムの教材開発を含む提供方法を検討することになる。加えて、既に授業を実施した4つのテーマ(ストレスとストレスケア・ストレスケアの体験・こころの病気・精神障がい者の体験談)については、研究協力校のリクルートを実施し、協力校の複数化を図り、授業効果の検証に向けて、母集団の数の増加に努める。 これらの計画を推進するためには、教育現場での実際のニーズを把握することが前提条件となるため、既に研究協力校となっている中学・高校の養護教諭のネットワークや心理系研究者のフィールドとのネットワークなどを活用しながら、慎重で丁寧なリクルートに努める。 さらに、学校生活で活用しやすいMHL教育プログラムの開発を目標に据え、与えられるだけのMHL教育プログラム内容だけではなく、生徒が主体的に自分自身のこころの健康の保持増進のために取り組めるための教材のあり方を、生徒の意見を反映させる形で整えていく方法も合わせ検討していきたい。
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Causes of Carryover |
初年度(平成28年度)は、研究協力校の施設事情により、MHL教育プログラムの2回の授業を研究者の在籍する大学講義室にて実施した。そのため、研究協力校へ出張しての授業実施を想定し購入予定であった機器の一部を購入せずに済んだ。また、学会開催場所が航空機を使用せずに行ける場所であった。加えて、初年度(平成28年度)のMHL教育プログラムは、既に研究者らが考案していたものをベースとしたため、教材として計上していたDVDを購入せず、研究者らの独自作成の内容で臨むことができた。 以上のような理由により、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度(平成29年度)は、研究協力校の複数化を見越して、リクルートをする予定である。研究協力校に出張授業ということも考えられ、初年度(平成28年度)必要であったが、購入していなかった機器(パソコン・ハンディタイプビデオカメラ・ポインター・パソコン周辺機器など)を購入する予定である。 また、平成29年6月には札幌にて、初年度(平成28年度)の研究成果を発表することなっており、移動距離からして、旅費が初年度より多く使用される予定である。さらに、MHL教育プログラムにおける教材開発にあたり、研究者らの独自作成の内容を振り返り、市販の視聴覚教材を参考にしながら、評価を重ねる必要があるので、次年度(平成29年度)使用額を利用して視聴覚教材も揃えて行く予定である。
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Research Products
(1 results)