2018 Fiscal Year Research-status Report
思春期女子生徒を対象としたメンタルヘルスリテラシー教育プログラムの開発
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16K01778
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
石村 佳代子 常葉大学, 健康科学部, 教授 (40295564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 典子 常葉大学, 健康科学部, 准教授 (90338004)
毛利 智果 常葉大学, 健康科学部, 助教 (70757103)
影山 セツ子 常葉大学, 健康科学部, 教授 (00290479) [Withdrawn]
佐瀬 竜一 常葉大学, 教育学部, 教授 (10441114)
伊東 明子 常葉大学, 教育学部, 教授 (10308687)
太田 正義 常葉大学, 教育学部, 准教授 (10635048)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 思春期 / 女子 / メンタルヘルスリテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、思春期女子生徒を対象にしたメンタルヘルスリテラシー(MHL)教育プログラムおよびその教材を開発することである。 研究者らが考案したMHL教育プログラムに必要な5つの要素、1.こころの働きと健康的な生活、2.ストレスとストレスケア、3.対人関係、4.こころとからだと生活習慣、5.精神の病気の理解について、1要素ないしは2要素を「こころの健康に関する教育プログラム」として内容に盛り込み、女子中学・高校生を対象に授業を実施し、その効果を検証してきた。 平成30年度は、思春期年代に関心が高い3.対人関係と、思春期女子に身近な月経について心身相関の側面より4.こころとからだと生活習慣を取り上げた。研究参加に同意の得られた女子中学・高校生(介入群36人、対照群41人)を対象に、介入群にMHL教育プログラム(こころのからだと生活習慣は2回シリーズ)を3回実施した。 授業は、知識の伝達とともに、3.対人関係においてはグループ演習を、4.において思春期女子に年齢の近い女子大学生の体験談を取り入れた。授業前後には、こころの健康についての関心度・MHLの測定・教育プログラム評価に関するアンケートを実施した。一方、対照群には、授業実施と同時期にこころの健康についての関心度・MHLの測定に関するアンケートを実施した。その結果、介入群において、授業後にこころの健康への関心の高まりや対人関係の対応・対処ができるようになったことが明らかになった。 現在、これらの結果を整理し、9月28・29日開催の日本健康心理学会および11月30日・12月1日開催の日本学校保健学会へのエントリーに向け準備をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的に即して、研究期間中に、研究者らが考案したメンタルヘルスリテラシー(MHL)教育プログラムに必要な5要素、1.こころの働きと健康的な生活、2.ストレスとストレスケア、3.対人関係、4.こころとからだと生活習慣、5.精神の病気の理解について、1要素ないしは2要素を「こころの健康に関する教育プログラム」として内容に盛り込み、女子中学・高校生を対象に授業を実施し、その効果を検証してきた。 平成28年度は、2.ストレスとストレスケア、5.精神の病気の理解について、ストレスケアを実施してみる演習や当事者の体験談を取り入れた授業を実施した。平成29年度は、4.こころとからだと生活習慣について、新聞記事を材料に生徒が主体的に考えられるようなワークを女子大学生のファシリテーターの協力を得て実施した。平成30年度は、思春期年代に関心が高い3.対人関係を対人交流の演習を入れて実施した。また、思春期女子に身近な月経について心身相関の側面より4.こころとからだと生活習慣を、女子大学生の体験談を取り入れ実施した。令和元年度は、最終年度となり、思春期女子生徒を対象にしたMHL教育プログラムの開発という目的を達成するためのまとめの年度となる。これまでの効果検証結果を踏まえ、思春期女子生徒を対象に実施した効果的なMHL教育プログラム内容の再検討をし、対象特性を生かしたMHL教育プログラムを提言していく予定である。 以上のようなプロセスにより、現在までの研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究では、平成28年度から令和元年度におけるメンタルヘルスリテラシー教育プログラムである「こころの健康に関する教育プログラム」の授業実施を踏まえ、対象特性に応じた教育プログラムを開発することが目標であった。 今後においては、開発したMHL教育プログラムを洗練していくために、研究対象校を複数にし、その効果検証結果を比較検討する必要がある。また、教育プログラムの授業実施については、効果が見いだされているので、対象者数を増やした場合、今まで実施していたように対照群を設定する必要があるのかという研究方法論について、検討の余地がある。 また、教育プログラムにおける女子大学生のファシリテーター役や体験談を語る形式での参画について、その体験の意味づけを調査することにより、MHL教育プログラムの独自性を打ち出すことも考えられる。そのため、思春期女子生徒の少し年上の女子大学生が参画することのMHL教育における影響の検証も考えていく必要がある。 さらに、中学・高校の女子生徒を思春期としてひとまとめにとらえてMHL教育プログラムを検討していく中で、中学生と高校生の発達段階をひとまとめにしての授業展開には、授業内容の理解度やグループ演習内容に差があることがわかった。そのため、中学生と高校生は別メニューを考える必要性があるし、対象者の個人特性によって提供する内容を複数そろえておくなど、より対象者のニーズに合った工夫も必要となってくる。 以上の点を踏まえ、引き続き継続的に研究を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
申請当初の計画では、3年目の平成30年度は、MHL教育プログラムを複数校に実施予定であった。しかしながら、初年度からの研究協力校にての実施にとどまった。したがって、打ち合わせや実施に関する往復の交通費や研究参加に対する謝礼、印刷代などの経費が必要なくなった。そのための差額と、これまでの余剰が重複している研究者などの合算で次年度使用額が生じることとなった。 今年度は、最終年度となり、継続研究への準備の年度でもある。今後、対象者数を増やしてのMHL教育プログラムの効果検証をすることも必要となってくる。そのために、本研究期間の報告書を研究協力校だけでなく、次のステップへのリクルートのために配布できるよう冊数を確保するために使用する。また、関連学会への発表を計画しているので、その必要経費に充填していきたい。
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