2016 Fiscal Year Research-status Report
児童の身体活動量、16~20年後の変化(都市部・農村部の同一小学校における調査)
Project/Area Number |
16K01781
|
Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
糸井 亜弥 神戸女子大学, 健康福祉学部, 助教 (40333265)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 陽介 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 基礎栄養研究部, 研究員 (60550118)
木村 みさか 京都学園大学, 健康医療学部, 教授 (90150573)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 児童 / 身体活動量 / 20年後の変化 / 体格 / 生活活動時間 / 食事 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、都市部同一小学校における調査により、20年間に起きている児童の身体活動量、生活活動時間、食事、体格の変化を検討することを目的に、6年生82名を対象に、平成29年2月中旬の1週間、身体活動量、生活活動時間、食事、体格(以上は10年前と20年前の調査と同一方法)、身体組成、身体活動に関する質問紙の調査を実施した。調査に協力を得た71名のうち、全データが揃った51名を分析対象とした。対象者は肥満の割合が少なく、活動的な集団であり、男子は女子より歩数が有意に高値であった(P<0.001)。肥満児は20年前に比べると高率であるが、10年前より減少し、歩数は20年前に比べると少ないが、10年前より増加した。外遊びの時間と運動の習いごとの時間は女子に比べ、男子で有意に長く(外遊びP=0.013;運動の習いごとP=0.001)、運動の習いごとの参加の割合も女子より男子で有意に高率であった(P<0.001)。自宅学習の時間は男子に比べ、女子で有意に長かった(P=0.007)。男子の運動の習いごとの時間は10,20年前よりも増加し、TV視聴とDSゲームの時間は男女ともに10年前、20年前に比べて減少した。対象者の歩数を2群に分け、BMI、体脂肪率、生活活動時間の関連を検討したところ、BMIと体脂肪率は歩数が少ない群より多い群で有意に低値を示した(BMI P=0.029;体脂肪率 P=0.010)。運動の習いごとの時間は歩数が少ない群より多い群で有意に長い(P=0.007)が、外遊びの時間には有意な関連が認められなかった。歩数と徒歩通学時間の関連も有意でなかったが、相関係数でみると、女子のみ有意な関連が認められた(R=0.397, P=0.033)。小学校高学年児童の活動量促進には、運動の習いごとへの積極的な参加が効果的であり、特に女子に対する参加率増加の工夫が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は都市部小学校6年生82名を対象に、平成29年2月中旬の1週間、歩数計による身体活動量、自己記録による生活活動時間と食事、体格(以上は10年前と20年前の調査と同一方法)、身体組成(体脂肪量・筋肉量・骨量)、身体活動に関する質問紙の調査を実施した。結果については、保護者向けの報告会で報告し、調査に協力を得た71名には、個人別の調査結果用紙を返却し、調査を完了した。次年度には、本調査の内容を学会で発表し、学術雑誌に投稿する予定である。食事記録による栄養分析は時間を必要とするため、食事内容の結果が遅れている。分析が終了次第、対象者に結果を返却し、食事の結果を含めた内容を分析する予定である。今回調査した都市部小学校は100mの標高差がある地形的変化に富んだ住宅地を含む広い地域を学区であるが、同じ都市部であっても平坦な地形に住宅地が立ち並ぶ都市部の中心地を学区とする小学校3年生を対象に、同じ方法による調査を進めており、これについても分析し、今後、学会で発表し、学術雑誌に投稿する予定である。次年度は農村部小学校の調査を予定しているため、教育委員会や小学校との調整の準備をしている状況である。当初の研究計画では、今年度に都市部小学校4年生、5年生の調査も完了することになっていたが、調査対象校の都合上、今年度は不可能であった。今後、当該小学校と話し合いながら、徐々に調査を進めていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の都市部小学校6年生の調査において、活動量計の測定には71名の協力を得たが、生活活動時間と食事についての記録用紙の参加者が51名に減少していた。この原因は、生活活動時間と食事の記録が対象者に負担であったことが考えられる。今後は調査協力者の増加に向け、対象者の負担を軽減した方法を考え、調査を進めていく。次年度は農村部小学校6年生を対象に、1週間、身体活動量、生活活動時間、食事、体格(以上は10年前と20年前の調査と同一方法)、身体組成、身体活動に関する質問紙の調査を実施する予定であり、研究計画に沿って進めていきたい。加えて、今年度に調査不可能であった都市部小学校4年生、5年生の調査も徐々に調査を進めていきたいと考えている。また、地域が異なる都市部小学校児童を対象に、同じ方法による調査を進めており、通学距離・遊び場や運動の習いごとなど生活環境が異なることによって、身体活動量・身体組成(体脂肪量・筋肉量・骨量)・体格・体力にどのような違いがあるのかについても今後明らかにしたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
本研究の成果を学述論文や学会で発表するまでに至っておらず、その経費に関係する費用を全く支出していない。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は本研究の成果を学会誌や学会で発表する予定である。論文に関わる英文校閲料、学会誌投稿料、論文掲載料、論文別刷料および国内外の学会出張費などを支出する予定であり、今年度未使用額(683,529円)を充てる。平成29年度請求額(1,100,000円)からは、調査に関わる出張費、共同研究者との打ち合わせに関わる交通費、活動量計用電池を含む測定機器消耗品費、調査用紙等宅配料、調査測定補助者謝金などを支出する予定である。
|