2017 Fiscal Year Research-status Report
父子での運動・スポーツ遊びの有益性~幼児の生活リズム確立にもたらす効果の検証
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16K01859
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小泉 佳右 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (20425359)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 健康 / 身体活動量 / 概日リズム / 父親 / 唾液 / コルチゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
生涯にわたる生活習慣を確立する時期である幼児期においては、安定した生活リズムの中で過ごすことが重要である。生活リズムの確立には遊びや運動に代表される身体活動が重要な役割を果たすが、4割を超える幼児は外遊びが60分に満たないことが明らかとなっており、身体活動量不足分を補完するための取り組みが求められるといえる。 また、子供の身体活動量は遊びやスポーツ・運動などにより確保されるが、特に父親との運動頻度が高いほど幼児の運動活動の時間・頻度・強度が多いことがアンケート調査から示されている。幼児の適切な身体活動量を確保する上で、父親との運動・スポーツ遊びが期待されるところであり、定量的に調査して確かなエビデンスを見出すことが社会に変容を求めるうえでも重要なことである。 このような課題を解決するために、本研究では、幼稚園年長児の(幼児)とその父親の身体活動・運動実践の現状を定量的方法で調査し(研究1)、幼児と父親の運動・スポーツ志向性及び父親の育児環境等に関するアンケート調査を実施する(研究2)。これらの現状調査から、幼児の身体活動の不足分を補いつつ、父子の生活に組み込むことができる運動・スポーツ遊びプログラムを実践し、その効果を検証する(研究3)。 現在は、研究1「幼児と父親の身体活動量の現状把握」を終え、研究2「幼児と父親の運動・スポーツ遊びの志向性及び父親の育児環境等の調査」を進行しているところである。 研究1の結果として、平日の身体活動には、父子間で相関関係はなかった。一方で休日では、5.0 METs以上の身体活動時間に関して、幼児と父親との間に有意な相関関係が認められ、幼児と父親が一緒に過ごす方法として、運動・スポーツ遊びを選択している可能性が考えられた。 これら本研究の成果は、これまで学会発表として1件、投稿論文として1件、公表を終えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は研究l~3で構成されており、当初予定として、研究1と2については平成28年度内に着手し、平成29・30年度に研究3に着手するという計画を立てた。 実際には、研究l「幼児と父親の身体活動量の現状把握」は調査を終了し一定の考察を終えて、学会発表も終えた。また、研究2である「幼児と父親の運動・スポーツ志向性及び父親の育児環境を把握するアンケート調査」は分析中である。 また、生活リズムを把握するうえで新しい機器の購入が必要とされたため、その機器の妥当性や再現性等の評価をするための実験を、追加して実施している最中である。 今後、研究3である「父子の生活に組み込むことができる運動・スポーツ遊びの実践と効果の検証」について、実施計画を進める。したがって、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1においては、父子は休日に一緒に運動・スポーツ遊びを実施している可能性が考えられたが、どの家庭も休日が父子で必ずしも重なるわけではない。したがって、多様な勤務様態に適応できるように、いくつかのパターンに分けてプログラムを作成していく予定である。現在、研究2で調査した父親の勤務様態を含む生活状況や子供と一緒に実施する運動・スポーツ遊びを分析しているが、家庭生活に子どもとの遊びをどの時間帯、内容、頻度で組み入れることが可能なのか、具体的に検討したい。そのうえで、研究3として父子の生活に組み込むことができる運動・スポーツ遊びの効果を検証したい。また、研究3を実施するにあたり、子供の生活リズムをより正確に把握するために、睡眠時も含めて装着可能なウェアラブルデバイスを購入した。このデバイスの正確性と再現性も検証する必要があり、現在データ収集を進めている。 各研究は終了次第、社会への公表のために、学会発表および論文投稿の準備を進める。学会発表はAmerican College of Sports Medicine Annual Meetingあるいは日本体力医学会、論文はjournal of Applied Physiologyあるいは体力科学への投稿を目指す。また、インターネットを利用しての社会発信という方法も検討したい。
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Causes of Carryover |
年度末に雇用した実験補助者に対する謝金となる可能性のあった額が未使用額として残った。業務内容(量)に対して雇用時間を確定しづらかったため、結果として残額が生じた。この残額は、次年度の人件費・謝金等の一部として使用する予定である。
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