2017 Fiscal Year Research-status Report
「気になる」外国人幼児の把握と支援に関する比較教育学的研究
Project/Area Number |
16K01863
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
二井 紀美子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30549902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名倉 一美 静岡県立大学短期大学部, その他部局等, 助教 (80548222)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気になる子ども / 外国にルーツを持つ幼児 / 外国人幼児 / 就園調査 / 市町村調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
外国にルーツをもつ子ども(本研究では便宜上、外国人幼児とする)の就園状況に関しては、健常児も含めたすべての外国人幼児についても、十分な把握はされていない。発達の気になる外国人幼児ともなれば、信頼できる統計データは会見の限りないのが実情であり、本研究はタイトルにある通り、「気になる」外国人幼児の把握の必要があるという認識の下で進めてきた。具体的には愛知県東部と静岡県西部の保育施設に在籍する発達の気になる外国人幼児の就園状況や支援体制、保育者の気になっている点を把握するため、全26市町村の保育行政とその地域内のすべての認可保育施設(保育所・幼稚園・認定こども園)を対象に質問紙調査(郵送)を平成29年6~7月に行い、25市町村と430園(回答率50.6%)から回答を得た。行政調査・園調査から、主に以下の4点が明らかとなった。第1に発達の気になる外国人幼児に対する支援体制は自治体によって異なる。第2に、調査地域には発達の気になる外国人幼児が就園しており、保育者の「気になる」割合は、外国人幼児に対するほうが、日本人幼児に対するよりも高い。第3に発達の気になる外国人幼児の場合、日本語でのコミュニケーションが十分にとれないことから生じる「気になる」行動・態度と、先天的に有している発達上の特性からくる「気になる」行動の部分のどちらにも保育者は気になっている。第4に、どの項目も日本語が理解できないことで生じる行動である可能性は否定できないものの、言語能力が直接反映する項目(「話が通じているかわからない」や「発音が不明瞭」など)は、就園期間が長くなるほど保育者の気になる割合が減少した。このことから、就園期間の長さを把握することは、幼児理解に欠かせないと指摘できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、当初の予定よりも大幅に規模を拡大した行政調査・園調査に着手し、貴重なデータを収集するとができた。外国人幼児と日本人幼児の文化背景の違いや、また外国人幼児同士でもルーツとなる国の違いが習慣・考え方の違いとなり、日本人保育者にとって「気になる存在」となりうることが分かった。また、保育者の、幼児理解・家庭理解の度合いも併せて質問紙で調査するなど、多層な面から保育者の「気になる」点の解明を図った。しかし、一方で国籍による違い・文化差の具体については十分検討できなかったため、次年度において補いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、外国人集住率の高い愛知県東部・静岡県西部地域を調査地に選び、すべての認可保育施設(公立私立の保育所・幼稚園・認定こども園)を調査対象とし、貴重なデータを得ることができた。しかし、このような認可保育施設に通わない(通えない)幼児については、情報を得ることはできなかった。そこで、本研究課題の最終年度に相当する平成30年度は、同じ愛知県東部・静岡県西部地域の認可外保育施設の状況を把握するための調査を実施する。
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Research Products
(7 results)