2017 Fiscal Year Research-status Report
デジタルデバイスによる若年者の視覚および自律神経機能への影響
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16K01881
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
原 直人 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (30265699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向野 和雄 神奈川歯科大学, 歯学部, その他 (60050473)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心拍変動 / 調節 / デジタル / 近見反応 / 眼精疲労 / 瞳孔 / 自律神経 / VDT作業 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)屈折異常による近見反応の相違:デジタル画面をみる場合には、近見反応を必要とする。遠視、正視および近視など屈折異常別に分類して焦点調節とその際の近見縮瞳の相違を測定した。この結果、近視の屈折度数が増加するに伴い、調節力は増強しかつ縮瞳することが判明した。ただし強度近視は調節力が小さくかつ瞳孔の縮瞳は僅かであった。一方、常に調節を行っている遠視眼では、瞳孔径は小さく調節力も小さいことが判明した。この結果は、国際自律神経学会2017で発表、英語論文を作成中である。 2)Cyber Physical systemsにおけるHead Mounted display (HMD)の視覚機能の影響:20分間のVirtual Reality (VR)を視覚刺激として視機能の変化を検討した。正常者は、視聴後には変化はみられなかった。間欠性外斜視や内斜視などsubclinicalな病態を持つ者の一部には、外斜視は外斜視角度の増強を、内斜視は内斜視角度の増強を認める。これらのAfter Effect (残効)は、視聴後20分間であった。軽度VR刺激であっても、視機能異常者には変化をもたらすことが判明した。今後、現代病としてスマホ内斜視といった斜視病態の悪化を考慮する必要がある。第74回日本弱視斜視学会で発表予定。 3)スマートフォンと調節:スマホにより調節機能が拙劣者は使用後、さらに調節反応がさらに低下していた。一方、電子書籍では、紙媒体より読み速度は大きかった。ただし、紙書籍がスマホ書籍よりも好まれることが判明した。 4)遮光レンズとデスプレイ:画面から発せられる光を遮光レンズにより軽減させて(分光透過率の調整)、自律神経(瞳孔と心拍変動)への影響を検討した。分光透過率の低下に伴い瞳孔は散瞳した。心交感神経活動は抑られ、副交感神経の活動が大きくなることが判明した。第71回日本自律神経で発表予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
眼自律神経である瞳孔、レンズ調節データを解析し考察する際に、時間的・経時的変化の早い心電図を装着し心拍変動解析を同時に記録解析出来ていて効率の良い測定が可能であったこと。また主観的な症状の多い眼の疲労を調節・瞳孔など近見反応および心臓といった2つの自律神経反応データから解析できたことは充分かつ確実なデータの裏付けがなされた。更なる研究のデータの解析も進めており、研究全体としての進捗状況は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの結果検討を行いながら、今年度は得られたデータの更なる確証を得るため、次の3つの内容により実験を推進したい。 1)スマホ内斜視発症メカニズムの検証(近業への順応および開散眼球運動障害として):近見視の状態を長時間継続しているため、この近業への「順応」が起こっている可能性がある。輻湊眼球運動と開散眼球運動の神経機構は中脳・小脳近傍で明らかに違っている。このことは開散運動が輻湊の反射的な眼球運動ではなく、遠方視する際の積極的な両眼視機能の一つとして、その記録をして内斜視発症のメカニズムを検討する。 2)VRによる視機能への影響:“近見反応の負荷がより強い”VR映像による近見反応の変化を確認する。また負荷残効がどの程度継続しまたその時間的経過を確認する。 3)デジタル機器における疲労に対する予防法:画面からの光を遮断軽減することが必須であるので、①遮光レンズが選定された理由、また装用による”掛け心地”を瞳孔および心拍変動解析から検討する。また遮光方法として眼鏡と共にデスプレイ遮光フィルターの効果を検証する。 これらのデータをクロスリンクさせて総合的な判断を行い、視機能への影響の軽減策および疲労への予防策を考えたい。
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Causes of Carryover |
1)心拍変動解析装置に付随したビデオ同時取りこみソフトおよびBlue Tooth によるワイヤレス装置の開発が遅れ購入が先延ばしとなったため。今年度は購入が必須なので、その資金としたい。 2)発表予定としていた2学会への不参加による。
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Research Products
(15 results)