2017 Fiscal Year Research-status Report
ニューロンオペラントコンディショニングを用いた細胞集団活動の適応的変化の数理基盤
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16K01966
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| Research Institution | Kyoto Sangyo University |
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Principal Investigator |
伊藤 浩之 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (80201929)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | ニューロンオペラントコンディショニング / ブレインマシンインタフェース / 多細胞活動記録 / 視覚皮質 / 多細胞データ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
伊藤と森(研究員)は視覚皮質での細胞集団活動をターゲットとしたNeuron Operant Conditioning実験の立ち上げに従事してきた。2016年度は視線計測システム、記録用埋め込み電極、頭部を固定するためのヘッドポストの開発を行った。2017年度はこれらの開発を更に進め、実験で有効なシステムを完成させた。視線計測システムはヒト・サル用に設計された赤外線カメラ画像の画像解析による非侵襲型であるが、実験で使用するネコの瞳孔のサイズおよび形状がサルと大きく異なっているために正確な視線をトラッキングすることが難しかった。画像処理でのパラメタの変更やカメラ画像のピントをぼかすなどの工夫で、十分な精度での視線トラッキングに成功した。記録用埋め込み電極は4本のtetrode電極を皮質に刺入し、電極チェンバーを頭骨に固定することで慢性記録の実現を行う。長期に渡る実験において、電極刺入深度を自由に変更できることが望ましいが、従来の方法では精度の悪いネジを用いるか精度の高い大型ステッピングモータに接続する必要があった。我々は、米国New Scale社が開発した超小型のステッピングモータを用いて電極マニピュレータを開発することで、電極チェンバー内にステッピングモータ部を常設することを可能とし、電極深度の変更のためにはモータコントロール用のケーブルを接続するだけでよい。この小型電極マニピュレータの完成により、容易かつ高精度に電極深度の変更が可能となった。頭部を固定するためのヘッドポストは頭骨との生体親和性からチタン製のチェンバーを3Dプリンタで製作し、チタン製ネジで頭骨に固定した。固定して半年以上を経過するが安定してヘッドポストを支えている。現在は、1匹目のネコに注視課題を訓練しており、Neuron Operant Conditioning実験の開始準備は整ったため、2018年度は本格的な細胞記録実験を行う。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伊藤と圓山(連携研究員)は視覚皮質での多細胞活動記録において異なる方位選択性を持つ細胞を出来るだけ均一に記録するための配列型電極の開発のために、麻酔下ネコの視覚皮質から2種類の配列型電極による多細胞活動同時記録を行い、データの統計比較結果をNeuroscience Research誌に論文発表し(Maruyama and Ito, 2017)、日本神経科学会での発表も行った(Maruyama and Ito, 2017)。この技術は、視覚皮質での細胞集団活動をターゲットとしたNeuron Operant Conditioning実験に適用する。また、この多細胞活動データを高橋、三浦（関西学院大学）と共同研究し、発火率の非定常性変動に伴うirrelevantな細胞間の発火数相関を除外し、神経活動に起因するrelevantな発火数相関のみを評価する統計的手法を開発し、日本神経科学会での発表を行った(Takahashi et al., 2017)。伊藤と森(研究員)が実施する視覚皮質での細胞集団活動をターゲットとしたNeuron Operant Conditioning実験は、頭部固定のヘッドポストの改良、超小型モーター内蔵の高密度tetrode電極マニピュレータの開発および赤外線カメラによる視線位置計測システムの完成を実現し、独自に開発した制御システムを用いた注視課題訓練を行っている。一匹目のネコを用いたNeuron Operant Conditioning実験を実施する段階に至った。
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| Strategy for Future Research Activity |
伊藤と森(研究員)は、一匹目のネコを用いたNeuron Operant Conditioning実験を開始する。研究計画に従って、最初は少数の細胞集団活動の発生に対して報酬を与えるNeuron Operant Conditioning実験を開始し、マクロレベルでの報酬フィードバックに対して、ミクロレベルの細胞集団活動にどのような因果的な変化が生じるかの動態を解析する。同時記録されている複数の細胞の一つを選択し、無刺激条件下(自発発火)での短時間発火率の大きさに応じて報酬量を変化させるリアルタイムのフィードバック実験から着手する。この細胞の発火率をvolitionalに上昇させることが可能であるかどうかを観測する。また、この際に条件付けされていない他の細胞の活動にどのような変化が生じるのかを統計解析する。バイオフィードバック実験システムにおいて、ターゲットとする神経活動イベントの発生から報酬フィードバックが与えられるまでの遅延時間を測定して、リアルタイム性の検証も合わせて行う。得られた成果は国内外の学会で論文発表を行っていく予定である。
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| Causes of Carryover |
課題研究で行う新たな実験の最終調整に当初の計画以上の時間を要したため、資料収集のための出張の機会が少なかった。また、動物の飼育の世話を行う大学院生の都合から勤務日を週2日に限定したため、謝金の執行が当初の計画より減額した。最終的に新たな実験の最終調整は計画した段階にまで至ったため、今後の研究計画の遂行には支障が無い。
研究員の森理也氏は次年度も継続して雇用を予定しているが、昨年度に引き続いて当初の計画からエフォート雇用の勤務時間を増やしているため、人件費の増額が必要である。本格的な実験を開始するため、物品費の増額を行う。最終年度であるため、成果発表のための旅費の増額を計画する。
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