2017 Fiscal Year Research-status Report
震災後の若年層女性のライフ・キャリア形成と知識伝達に関するジェンダー論的研究
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16K02044
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
天童 睦子 宮城学院女子大学, 一般教育部, 教授 (50367744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 富美枝 (浅野富美枝) 宮城学院女子大学, 付置研究所, 研究員 (50326732)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジェンダー / 知識伝達 / 女性と災害 / キャリア形成 / 被災地 / フェミニスト・リサーチ / 支援と協働 / エンパワーメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、震災後の女性のライフ・キャリア形成と知識伝達に関するジェンダー論的研究である。知識伝達とジェンダーの理論的検討、および震災後の東北・宮城を中心に、女性への聞き取り調査を行い、進路選択、キャリア形成の課題を検討してきた。二年目は研究計画に則り、調査地を宮城、福島、北関東に拡大し、フェミニスト・リサーチの手法に基づく質的調査を実施した。若年層女性のライフ・キャリア調査を継続するとともに、震災後の福島の女性たちの現状に注目し、女性と移動に焦点を当てた聞き取り調査を実施した。第一に、福島から宮城に移動した若年層女性のライフ・キャリア形成調査、および宮城で活躍するNPO代表、教員の女性への聞き取り調査を行った。、第二に、福島県郡山市、富岡町を訪問視察し、同地で女性支援を行う市民女性等への聞き取り調査を行った。第三に、震災の影響により宮城、福島から北関東に移動した女性と家族の現状を検討するため、埼玉県で女性支援を行う市民活動層の協力のもとに、フェミニスト・アクションリサーチの手法により、支援する/される側の協働のありかたを検討・分析した。災害と女性、ライフ・キャリアのジェンダー論的接合は、日本のジェンダー構造を問い、その変革にかかわる知識伝達の課題を明らかにする意義がある。本研究成果の一部は、公開シンポジウム「人間の復興と女性のエンパワーメントⅡ-女性と移動を中心に」(宮城学院女子大学)の実施を通して、広く地域にも還元している。東北発のジェンダー研究の発信を通して、社会的ジェンダー平等の推進に寄与していると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね研究計画に沿って研究調査が予定通り遂行されている。平成29年度の課題として企図した通り、若年層女性のライフ・キャリア調査の継続、震災後の福島の女性たちに焦点化した、女性と移動研究に取り組んだ。さらに、フェミニスト・アクション・リサーチの手法により、支援する/される側の協働のありかたを検討・分析した。被災地視察、および調査にあたっては現地の方々、女性支援に携わる方々の協力を得た。研究成果の一部は、研究会報告、公開シンポジウムにより学術的・実践的な成果の発信に努めるとともに、本研究内容とその経過はホームページ上で発信している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進にあたっては、これまでの先行研究をふまえた理論的研究、および本研究目的に沿った実証的調査研究を統合し、ライフ・キャリア形成の分析研究を深める。収集されたデータをもとに、震災後の経年的変化を、言説分析とフェミニスト・リサーチを交叉させた調査分析の手法により検討する。知識伝達のジェンダー構造とその変革可能性について、支援する側/支援される側の協働の視点を織り込みながら、理論的枠組みの提示を図る。本研究の知見は、最終年度の総括として、市民との協同による公開シンポジウムを行い、ホームページとあわせて、広く社会的還元を企図する。また、震災後の女性のライフ・キャリア形成という日本発の学術的知見を、国内外の学会等で発表し、世界的なジェンダー平等の課題として提起したい。
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Research Products
(3 results)