2016 Fiscal Year Research-status Report
派遣労働のキャリア形成:専門性・職域・年齢制限を軸とした社会学的アプローチ
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16K02048
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
大槻 奈巳 聖心女子大学, 文学部, 教授 (30356133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜沢 由美子 明星大学, 人文学部, 准教授 (00613192)
江頭 説子 杏林大学, 男女共同参画推進室, 特任講師 (20757413)
田口 久美子 和洋女子大学, 人文社会科学系, 教授 (40275110)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 派遣労働者 / ジェンダー / 非正規雇用 / キャリア / 女性労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第一に2015年に改正された派遣法によって、派遣社員の雇用は安定するのか、派遣社員の専門性はあがるのか、職域は拡がるのか、年齢制限はどのような現状なのか、第二に派遣社員の働く上での不都合な点や不満はなにかを明らかにすることを目的としている。2016年度は派遣社員39名、パート1名、派遣協会、派遣元会社2社、派遣ユニオン、ACW2にインタビュー調査を実施した。 派遣社員39名、パート1名へのインタビュー調査から派遣法改正1年を超えた時点での専門性のあり方、職域の拡大、年齢制限の現状を把握することができた。学歴、配偶者の有無、初職の内容によって、同じ派遣といっても大きな違いがあることが分かった。 学歴が高卒、高専卒の場合(中退含む)は、大卒よりも状況は厳しかった。また、初職で事務職についていないものは、事務職の派遣になることも大変なことがわかった。 配偶者がいない、30代後半以上の派遣社員は将来不安が大きかった。 派遣元会社へのヒアリングから、派遣社員の数はリーマンショック前には戻っていないこと、派遣元会社としては、改正派遣法のあと、教育に力を入れるようになっていることなどが、明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)派遣社員39名、パート1名にインタビュー調査を実施した。派遣社員の職歴、働く状況、改正派遣法の影響等について、現状を把握することができた。 (2)派遣協会、派遣元会社2社、派遣ユニオン、ACW2にインタビュー調査を行った。派遣協会、派遣元会社2社の話から、派遣社員を雇う企業の考え方、需要の経年変化、改正派遣法への考えなどがわかった。派遣ユニオン、ACW2の話から、派遣社員の抱えている問題、紛争の特徴がわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)1年目にインタビュー調査をおこなった派遣社員にインタビュー調査を2年目も実施し、1年後の状況を把握し、状況を分析することを計画している。 (2)派遣社員を活用している派遣先企業にヒアリング調査を実施し、派遣社員を活用する理由、良い点、悪い点等を把握する予定である。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の音声データを記録として残すために、テープ起こしの委託料等の支出を予定していたが、対象者の社会的地位(学歴・配偶者有無等)や初職による違いが大きいことから、インタビュー調査対象者を20名から40名に増やして調査の実施を優先し、テープ起こしの作業を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
テープ起こしの費用、インタビュー対象者へのインタビュー謝金、調査に係わる交通費等に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)