高齢者を介護する中高年単身者のワーク・ライフ・バランス支援ニーズの研究

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K02063
• Research Institution: Kyushu University of Nursing and Social Welfare
• Principal Investigator: 生野 繁子 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 教授 (40249694)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 戸田 岳志 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 助教 (10590896) ; 吉岡 久美 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 准教授 (30412787) ; 中嶋 恵美子 福岡大学, 医学部, 教授 (30461536) ; 鷹居 樹八子 産業医科大学, 産業医科大学, 教授 (40325676) ; 正野 逸子 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (80280254)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: ジェンダー / 高齢者介護 / 中高年単身者 / ワーク・ライフ・バランス / 在宅介護 / 介護者支援

Outline of Annual Research Achievements

・平成28年度4月の熊本地震被災の影響で、研究開始が半年遅れたが、研究推進会議を3回、介護カフェを2　回、有識者へのヒアリングを1回、各メンバー間の打ち合わせを随　時実施した。介護カフェで実施する参加者アンケートに関して、研究責任者の所属大学の倫理委員会に申請し、承認を得たのちに12月から実施した。
・介護カフェ2回開催→1.北九州市戸畑にて:「シングル介護カフェ」内容:①研究責任者による開催の目的とシングル介護の現状報告。②司法書士による「介護と成年後見制度の活用について」③介護カフェ(司法書士相談コーナー・ケアマネジャー相談コーナー・栄養士相談コーナー・なんでも語り場)。参加者:28名。結果:支援を得るための情報を多く求めていた。司法書士コーナーは財産分与や兄弟間の介護負担など問題が複雑。ケアマネジャーと栄養士コーナーは実際の地域の社会資源と自分のケースの具体的アドバイスを求めていた。語り場担当者から→シングル介護のテーマで広報したため、自分がその条件に合うのか迷いがあった。総括:有意義であったとの評価も、多く広報した成果は得られなかった。
2.熊本県本学にて:「介護カフェ:介護者支援セミナー」内容:①司法書士・栄養士・ケアマネジャーによる各10分程度のミニレクチャー②介護カフェ(司法書士相談コーナー・ケアマネジャー相談コーナー・栄養士相談コーナー・なんでも語り場)。参加者36名。結果:栄養士による実演等もあり楽しかったという評価が多数。1名ですべての相談を希望する等利用が積極的。大学の公開講座とのコラボで実施したため、参加者は現在介護していない方も含まれたが将来的におこりうる問題としてとらえ、また、参加者目線の楽しい企画との評価が多数。
・有識者へのヒアリング1回→男性介護者支援の第一人者である立命館大学の津止正敏教授から示唆を受けた。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成28年4月の熊本地震に研究者メンバーの内、半数の3名が被災した。メンバーに身体的な被災はなかったが、自宅の損壊や家族のケアが発生し、メンタル面の不調が発生しやすい期間でもあるため慎重な対応が必要であった。総合的に計画時よりも、個人的な生活負担が増している。
また、研究責任者が所属する大学も建物被災はなかったものの、3週間の休校や学生支援に対する対応が多く、通常年よりも負荷が大きかった。そのため、実質の研究着手が秋からになり、当初計画よりも半年ほどの遅れが生じている。開始後もこの研究に関するエフォートは当初計画時より低下した状態である。

Strategy for Future Research Activity

・海外の介護者支援の視察を当初は、イギリスにおける介護者支援法の運用の実際を視察　する計画を持っていたが、イギリス在住者へのヒアリングの結果、浸透していないと判　断した。日本で介護者支援法の制定に向けて活動している「津止正敏氏」のヒヤリング　から、10月オーストラリア・アデレードで開催される「第7回世界介護者会議」に参加　し、情報収集することに計画変更した。
・介護者支援のためのセミナーと「介護カフェ」開催は昨年度２回開催できた。今年度は　福岡県の研究メンバーが主となり、開催する計画である。また、カフェ参加者に対する　調査の倫理面の審査は、研究代表者の大学において承認を得た。

Causes of Carryover

熊本地震により研究者が被災し、研究開始が遅れたため、海外の介護者支援の視察が実行できなかった。そのために、海外渡航費に関わる旅費や参加費の支出がなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成29年度に再計画し、当初予定のイギリスへの視察は計画できなかったが、10月にオーストラリアのアデレードで開催される「第7回世界介護者支援会議」に参加する予定。