2018 Fiscal Year Annual Research Report
Egalitarianism and Discrimination
Project/Area Number |
16K02138
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
堀田 義太郎 東京理科大学, 理工学部教養, 講師 (70469097)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 差別 / 哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の2018年度は、近年の言語哲学におけるヘイトスピーチおよび差別語・蔑称(slurs)をめぐる議論と比較検討することで、「客観的意味説」の積極的意義を明らかにするための研究を行った。 差別語をめぐる議論では、当該社会に差別行為・慣習・信念の集合が存在することを背景として、特定の差別語が特有の意味を帯びる機構を様々な観点から分析しているが、差別行為についても同様の分析が可能だと考えられる。従来の差別概念をめぐる議論では、差別語等をめぐる研究と、行為としての差別の分析論は独立して展開されており、両者を接続して検討する議論は存在しない。ただし、行為の意味を言葉の意味と同様に考察できるかどうかについてはさらなる検討が必要であり、この点、申請者は行為が表現する意味を、理由へのコミットメントとして考察するというアイデアのもと文献検討を行った。差別の悪質さに関する客観的意味説にとって行為集合が存在することは最重要論点だが、それが、ある行為に対していかなる仕方で・いかなる意味を与えると言えるのかという点は先行研究では探求されておらず、この論点を探求する研究には大きな意義がある。ただし、研究成果として論文にまとめることができてはいない。なお関連で日本倫理学会において「差別の悪質さ」に関するワークショップを企画・実施し、議論を行った。 なお、研究期間全体を通して、当初目的の差別の悪質さの評価基準としての「平等」の意味については十分に検討することができておらず、今後の課題として残された。
|