2016 Fiscal Year Research-status Report
日台韓における社会的孤立者に対する宗教者の伴走型支援活動に関する調査研究
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16K02191
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
宮本 要太郎 関西大学, 文学部, 教授 (10312779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 昭 天理大学, 天理大学おやさと研究所, 教授 (90214452)
白波瀬 達也 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (40612924)
村島 健司 関西学院大学, 先端社会研究所, 研究員 (60707511)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会的孤立者に対する宗教者の伴走型支援活動 / 無縁社会 / ライフストーリー / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、(1)実態調査、(2)ライフストーリーの分析、(3)台湾での調査、(4)研究会を実施した。 (1)および(2)については、各自で進めるとともに、7月23日に鍋島直樹氏(龍谷大学教授)を講師として、「臨床宗教師の理念と実践」に関する研究学習会を開催した。講師による説明の後、スピリチュアルケアとの差異化をどのように図るのかなどに関して質疑応答が行われた。金子は、11月22日、NPO法人印旛たすけあいネットによるホームレス炊き出し支援(台東区南千住)、また2月11日には同ネット代表宅(天理教分教会)でなされている子供食堂・里親活動(成田市)の聴き取り調査を行なった。研究協力者の渡辺順一は、9月2日・3日に横須賀市において、横須賀在住の外国人への布教・生活支援に取り組む宗教者への聴き取り調査を行なった。 (3)については、宮本、金子、村島の3名が、9月1日より4日まで台湾を訪れ、台北近郊の烏来(ウーライ)地区にあるキリスト教長老教会、天理教台湾伝道庁、仏教慈済基金会、キリスト教神愛教会において聴き取り調査を実施した。とりわけ、キリスト教長老教会においては、高齢者に対する支援の場を通して先住民族タイヤル族コミュニティの再生が、また、キリスト教神愛教会においては、主に都市部で女性や若年層の先住民族へのサポートを展開することでコミュニティの創生が、それぞれ図られている実態を確認した。 (4)については、2月18日に「日本在住の外国人に関わる宗教者の支援活動」に関するシンポジウムを開催し、木本雅史氏(金光教横須賀教会教師)、中村瓊珠氏(台湾仏教慈済基金会関西連絡所代表)、松浦デ・ビスカルド篤子氏(カトリック大阪大司教区社会活動センターシナピス代表)より、各自の活動について報告後、社会活動と布教活動との関連性、地域社会と支援される人々の結び付け方などについて議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伴走型支援活動に従事する宗教者たちの実態を調査し、現代社会において宗教(宗教者、宗教団体、宗教的価値観・倫理観、宗教文化)が果たしうる役割の可能性を、韓国・台湾における実態との比較考察も視野に入れながら、可能な限り実証的に比較研究するという研究目的に関わって、各自がそれぞれの課題をもって研究に取り組んでいる。 福島県内の仮設住宅での調査の代りに在日外国人への支援を調査したり、研究会についても、当初予定されていた「ホームレス支援活動」ではなく、「日本在住の外国人に関わる宗教者の支援活動」のテーマで実施するなど、若干の変更はあったが、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、引き続き、宗教者からの聞き取りを中心とした実態調査を実施する。とりわけ、伴走型の支援活動に従事している宗教者の実態を中心に、研究組織全員で調査する。また、韓国において、タシソギ総合支援センター、ホームレスセンター宣教教会「ドリームセンター」、ソウル老人福祉センター、銅雀老人総合福祉館、大韓聖公会ソウル主教座聖堂の「カフェグレース」など、社会的孤立の状態にある人びとへの宗教者による寄り添いケアと「縁」作りの現場を視察し、聴き取り調査を実施する。 合わせて、宗教者たちのライフストーリーの分析と比較を通じて、社会活動に携わる宗教者たちの思いを把握することに努める。また、支縁のまちネットワークと協働しながら、さまざまな社会活動に従事している宗教者たちを招いて活動の報告をしてもらうとともに、研究者さらに市民も交えて意見を交換できる場を設定する。合わせて、支援される人たちに対する調査と、本研究で実施する支援者への調査の相互関連についても考察を深める。 これらの研究と並行して、最終年度となる平成30年度には研究成果を出版できるよう、準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
1)当初、福島県内の仮設住宅での宗教者の訪問ケアの状況などを実施する予定だったが、それを次年度に繰り越したため。 2)9月に行った台湾調査に引き続き、再度現地に赴き、宗教者の寄り添い支援の調査を継続する予定だったが、それを次年度に繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1)福島県内の仮設住宅での宗教者の訪問ケアの状況などの調査、ないし在住外国人に対する宗教者の支援活動に関する調査に充てる。 2)再度、台湾にて宗教者の寄り添い支援の調査を行う。
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Research Products
(14 results)