2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Matisse's artistic activities during the Second World War: From the view point of Frenchness and war culture
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16K02283
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
大久保 恭子 京都橘大学, 発達教育学部, 教授 (70293991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 友紀 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (30537882)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 第二次世界大戦 / フランス / マティス / フランス性 / 占領期 / ドイツ / プリミティヴィスム / フランス伝統青年画家 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は過年度の研究により、ローランス・B・ドルレアクらの第二次世界大戦期における芸術に関する実証的研究によって、戦時下でフランス美術が置かれた状況を俯瞰的に捉えることが可能になり、美術史学としての個別研究を行う素地が整ったことを確認した。 そこで戦時下におけるマティスの芸術活動を「フランス性」という概念を軸に、制作実態と作品展示の実情、および言説上での受容の視点から検証するべく、国際シンポジウム「第二次世界大戦期のフランスをめぐる芸術の位相」を企画・実施した。パリ・ナンテール大学のレミ・ラブリュス氏が1940年代のフランス美術の動向全体について基調講演を行い、日本側からは4名の登壇者が、コラボラシオンと収容の問題(河本真理)、国家による独立派芸術作品の買い上げ問題(松井裕美)、モデルニテと大戦期フランス美術との関係(山本友紀・研究分担者)、大戦期の「フランス性」をめぐる芸術的地政学(研究代表者)をめぐる問題提起を行い、第二次世界大戦期のフランス美術研究における新局面を開くことができた。 また研究代表者は、昨年のスペインでの調査を踏まえ、ピカソのプリミティヴィスムにおけるアイデンティティを明らかにすることでマティスの芸術場を相対化し、共著『ピカソと人類の美術』を出版した。さらにマティスの切り紙絵における楽園表象とフランス性との関わりを明らかにして、共著『モネとマティス―もうひとつの楽園』を出版した。 分担者は国会図書館や国立公文書館で調査した一次資料の検証に基づき、第二次世界大戦期フランスのモダニズム美術の展開と受容について、上記シンポジウムで問題提起を行い、戦時中に展開された「フランス伝統青年画家」などの制作活動が第二次世界大戦後のフランス美術の展開とも関係性を持つことを明らかにした。
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