2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02321
|
Research Institution | Aichi University of the Arts |
Principal Investigator |
吉村 佳洋 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (10336670)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北田 克己 愛知県立芸術大学, 美術学部, 教授 (50242251)
岡田 眞治 愛知県立芸術大学, 美術学部, 教授 (60295582)
岩永 てるみ 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (80345347)
阪野 智啓 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (00713679)
王 培 愛知県立芸術大学, 美術学部, 非常勤講師 (00600587)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 膠 / 使用感 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に引き続き、日本画材を筆で基底材に乗せる感覚及び乾燥後の定着性の差異が膠の種類によってどう表れるかを実験調査した。内容としては古典的膠(牛膠・鹿膠)、現在市販で購入し易い絵画用膠(和膠三千本飛鳥・播州粒膠)計4種類で実施。古典膠については、平成28年度に大崎商店(姫路市)にご協力を頂き、姫路市高木地区に伝わる古典膠製造を再現したものを使用した。これは現在販売されている膠と違い、薬剤を使用していないものになる。古典的膠と市販されている膠の2種類を使用する事によって薬剤の使用によって及ぼされる製品の性状や品質の違い、膠の精度の違いによって塗布した際の使用感が影響するかを比較調査を行なっている。 基底材については和紙(薄美濃紙、雁皮紙)、絹を使用する。それぞれの特徴としては、薄美濃紙は原材料に楮を使用しており筆での引っ掛かりが多く塗布しやすい。雁皮紙は雁皮を原材料としており、虫害・退色に対しても強いため和紙の中でも永年性が最も強く古くから使用されていた。特徴としては表面が滑らかで筆が滑りやすい。最後に絹は絵の具の伸びが良く、裏表の彩色が可能である為、紙の彩色とは大きく異なる。以上の三種類を使用し、基底材の違いによって現れる筆運びの差異の検証を行っている。 また日本画材は色によって性質が異なる。この性質の大きく異なる4種の絵具、青(天然群青8番)、緑(天然緑青8番)、赤(鎌倉朱、極赤)、金(純金泥)を用い発色、伸びの良さ、乾燥後の艶や耐水性を中心に情報収集を行っている。収集した情報は平成30年度中にまとめる計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた実験の内、晒膠、たらし込み技法などの実験、検証を開始する事が出来なかった。次年度に持ち越し、実験、検証を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年、29年度に行った基本的な塗布実験に引き続き、平成30年度は江戸時代の技法書に記述のある溶解法の再現による膠を使用した実験を行う。晒膠(膠を雪に晒したもの)の作成や古典的膠を使用した日本画技法の再現の実験と検証を行う。
|
Causes of Carryover |
材料費での支出が当初計画より少なくなった為。
|