2017 Fiscal Year Research-status Report
黒川家旧蔵資料の調査研究──江戸期の知識流通体系及び古典学の形成基盤の解明──
Project/Area Number |
16K02388
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
木下 華子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (10609605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 圭介 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (80346155)
藤實 久美子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (90337907)
新美 哲彦 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90390492)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 黒川家 / 国学 / 国文学 / 蔵書形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象は、江戸期から明治期にかけての国学者・蔵書家である黒川春村・真頼・真道の三代にわたって蒐集・蓄積された黒川家旧蔵資料群と、黒川家において醸成された江戸期知識層の学問(古典学)である。本研究では、書誌学的調査によって得られた奥書・識語・蔵書印等の集成をもとに、同時代の書物の流通と収集の過程を解明し、書籍の書き入れや同時代の学者・蔵書かたちの交流からうかがわれる学問の諸相を描き出す。また、黒川家代々が編纂に携わった江戸末期から明治期にかけての叢書類(丹鶴叢書・国史大観など)と黒川家旧蔵資料群の関係を検討し、江戸期の古典学が近代の知識体系・学問の枠組に関与する様相を解明する。 本研究の調査・課題対象項目のうち、「江戸期知識階層のネットワークとその具体相に関する検討」については、昨年度から継続して、ノートルダム清心女子大学に分蔵される古典籍(和歌・歌論・物語を中心とする)の調査を行い、奥書・蔵書印・識語等の記載内容を集成する作業を行った。今年度は、特に物語類について、調査及び電子化データの追加・補完が大きく進展した。 「江戸期知識階層の古典学の基盤形成と流通に関する検討」では、賀茂真淵・清水浜臣・岡本保孝等の自筆本や書入れ本について書誌調査を行い、データを集成した。 「非文字情報の集成・分析を通した江戸後期の蔵書形成に関する書誌学的検討」については、前年度から引き続いて、古典籍の表紙や蔵書印の画像データの集積をはかり、検討を行った。 「近世〈知〉と近代国文学との関係の検討」については、黒川真頼の『古今和歌集講義』を中心として調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者・分担者の調査によって、おおよそ昨年度の遅れを取り戻したと考えている。 「江戸期知識階層のネットワークとその具体相に関する検討」については、特に物語類を中心として500点弱の調査を行った。「江戸期知識階層の古典学の基盤形成と流通に関する検討」「非文字情報の集成・分析を通した江戸後期の蔵書形成に関する書誌学的検討」については、如上の調査点数に応じて、データを集成している。 「近世〈知〉と近代国文学との関係の検討」については、黒川真頼の『古今和歌集講義』の書誌調査情報を公開し、翻刻を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、当初の計画に則り、調査を継続する。
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Causes of Carryover |
予定していた研究協力者は、介護等の事情で研究への参加が困難となった。その分を代表者と分担者で補うことにしたため、協力者に対する人件費・謝金の支出が減少した。 予定していた研究協力者の専門性を鑑みた場合、増員をはかることが難しいため、研究代表者・分担者の担当分を増加する。その調査旅費等に、昨年度未使用の経費を充てる。
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Research Products
(7 results)