2016 Fiscal Year Research-status Report
称名寺聖教を中心とした東国寺院における唱導資料と説話に関する研究
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16K02394
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 悠介 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 准教授 (40551502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西岡 芳文 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 学芸課長 (90443407)
岡本 綾乃 (道津綾乃) 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 主任学芸員 (40443410)
貫井 裕恵 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 学芸員 (40782868)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)神奈川県立金沢文庫管理・称名寺聖教の調査:『五寸四方の文学世界―重要文化財「称名寺聖教」唱導資料目録―』(神奈川県立金沢文庫、2008年)を参考にしつつ、称名寺聖教を見直し、唱導資料とその関連資料の調査を行った。金沢文庫での調査は、研究分担者・研究協力者と共に毎月一回程度行い、平成28年は6月18日、7月16日、8月13日、9月25日、10月23日、11月23日、12月18日、平成29年は1月14日に実施した。主には千字文説草を調査したが、他に唱導資料と推定される断簡類の一部についても調査を行い、内容や筆跡の検討を行うための写真を撮影した。 (2)称名寺聖教中の「千字文説草」の調査・翻刻:称名寺聖教中、特に表紙の右肩に千字文が振られ分類されている説草群については、全て写真を撮影し、研究分担者・研究協力者と共に、写真をもとに順次、翻刻を作成した。そして、上記の調査の際に、原本を閲覧しつつ翻刻の校正・チェック作業を行った。平成28年度は、全体の2/3程度まで原本校正を進めることができた。千字文説草については、解題を付して翻刻を公刊する予定であり、出版社とも相談しつつ組版にあった凡例を決め、作業を進めている。 (3)唱導と説話に関する研究:称名寺三世長老・湛睿(1271~1346)筆の説草『恩愛紲難断事』に基づき、元亨4年(1324)に金沢北条氏の被官の三回忌に語られた説話を分析し、これを通して能楽における亡魂供養を考える論文を『能と狂言』に執筆した。また、称名寺聖教中の神祇書を通して、中世日本紀説の生成や神祇灌頂の背景を考察した論文を、福島金治編『生活と文化の歴史学 9巻 学芸と文芸』(竹林舎)に執筆した。その他、大谷大学図書館や高野山大学図書館において、関連する文献資料の書誌調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の進行に、特段の問題は生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究分担者と共に、称名寺聖教を中心とした調査研究や翻刻作業を進める。
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Causes of Carryover |
平成29年度予算の予定額が平成28年度予算額よりも少ない一方、調査は同様に定期的に行うのが望ましいため、幾分か予算執行を抑えて次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者・研究協力者と共に、神奈川県立金沢文庫及び関連資料を有する他機関・寺社等での聖教調査を進めるための旅費・謝金として使用する予定である。
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Research Products
(12 results)