2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02436
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
大高 洋司 国文学研究資料館, 名誉教授 (60152162)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 江戸時代 / 近世小説 / 後期読本 / 長編構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究テーマに即した研究会を開催し、研究報告・討論を通じて、後期読本における長編構成の問題点について認識を共有した。本年度は、読本の発生期、後期読本の形成期・展開期における「小説作り」の在り方について、研究協力者・研究支援者に研究報告をお願いし、それぞれ今後の研究に資する注目すべき指摘を得た。 〇第1回研究会(平成28年4月22日、国文学研究資料館、出席者5名):今後の打ち合わせ〇第2回研究会(平成28年7月2日、明治大学駿河台キャンパス、出席者6名):〈研究報告〉紅林健志「『大友真鳥実記』と『本朝水滸伝』―長編読本登場の一前提―」〇第3回研究会(平成28年10月22日、明治大学駿河台キャンパス、出席者6名):〈研究報告〉伊與田麻里江「山東京伝と岸本由豆流の交流―『双蝶記』の一文をめぐって―」〇第4回研究会(平成28年10月22日 明治大学駿河台キャンパス 出席者7名):〈研究報告〉村上義明(研究支援者)「高井蘭山の著述活動と『絵本三国妖婦伝』 2.後期読本を多く含む京都大学文学部濱田啓介文庫(同大学濱田名誉教授の寄贈資料約500点)共同調査を実施し、後期読本及び実録その他、近世後期文芸資料120点の書誌データを作成した。 3.2の調査で見出された資料、また国文学研究資料館所蔵の資料を複写・共有し、できる限り善本テキストに基づく研究の推進を図った。 4.アルバイトを雇用し、調査データの整理・共有を進めると共に、今後調査に入る向井信夫文庫(専修大学図書館)の要調査リストの作成、国文学研究資料館に所蔵される関連資料の原本確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(初年度)の研究は、研究協力者・研究支援者の助力を得て、ほぼ当初の計画通りに進展した。京都大学濱田啓介文庫の共同調査は、同文学部関係者の全面的なご援助によって、滞りなく予定点数のデータ化を完了することができた。ただ、代表者自身が諸事情により本年度の研究報告に加わっていないことが大きな反省点である。
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Strategy for Future Research Activity |
期間中の研究の推進については、特に計画の変更は考えていない。ただ、最終的な成果のまとめ方については、現在以下のように考えている。①代表者の成果は、期間中に発表した個別の論文を、既発表論文の手直しを含め、平成31年度中に出版予定の著書『後期読本論(仮題)』に融合させる。②研究協力者・研究支援者の成果については、最終年度の報告書を待たず、できるだけ早く専門誌などに掲載することを奨励している。昨年度(平成28年度)の報告内容のレベルがそれぞれにきわめて高く、PD・現役院生など若手研究者の育成には、優れた成果を迅速に目に付きやすい媒体に掲載することが最良と考えられるためである。ただしその際、本課題による成果であることを銘記するように依頼している。③京都大学濱田啓介文庫調査は、もちろん本テーマと密接に関連して行われるものであるが、併せて、調査データを同文庫を管理する文学部閲覧室に提供し、今後の保存・利用に役立てていただくことを予定している。
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Causes of Carryover |
本年度はそれぞれに用途について必要十分な支出を行うことができた。次年度は直接経費が本年度より少ない700,000円になることもあり、残額36,803円を次年度に回したいと考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
特に使途を確定しているわけではないが、次年度研究費の補填に用いる予定である。
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