2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02436
|
Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
大高 洋司 国文学研究資料館, 名誉教授 (60152162)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 江戸時代 / 近世小説 / 後期読本 / 長編構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、研究会・原本調査などを実施し、成果をあげた。 1.研究テーマに即した研究会を開催して研究報告・討論を行い、認識の共有を深めた。〇第1回研究会(平成29年8月21~22日、国文学研究資料館、出席者8名):(研究報告)牧野悟資「狂歌判者赤城山人の読本『僊窟史』考―実録と『源氏物語』への挑戦と挫折―」、大関綾「『自来也説話』の長編構成」〇第2回研究会(平成29年12月2日、明治大学駿河台キャンパス、出席者6名):(研究報告)大高洋司「「拙作」としての『頼豪阿闍梨怪鼠伝』」。 2.京都大学文学部濱田啓介文庫(近世小説を中心とする約400点)の第2回共同調査を実施し、後期読本・実録を含む120点のカード調査を終えた(平成29年8月2~4日、参加者7名)。また国文学研究資料館における研究会の両日、前後の時間を確保して、後期読本を中心とする同館所蔵原本資料の調査を行った。 4.研究代表者大高洋司は、本研究経費による『絵本朝鮮軍記』・『絵本太閤記』の資料複写(原本は、共に国文学研究資料館蔵)を用いて、〈絵本もの〉読本・〈図会もの〉読本における長編構成のあり方につき、本研究のテーマを念頭に置いた講義を行った(「軍記と読本-『絵本朝鮮軍記』の位置」、国文学研究資料館第4回古典籍セミナー、平成30年2月27日、北京日本学研究センター〈北京外国語大学〉))。 5.研究協力者紅林健志は、平成28年7月2日に行った研究報告に基づいて、論文「仮作軍記と『本朝水滸伝』(「国語と国文学」、平成29年11月号、特集「近世文人の文学」)を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究会については、本年度も予定していた作者・作品をほぼ取り上げることができており、若手研究者の研究報告を通じて得られる知見の豊富さは、予想以上と言って良い。共同調査も順調に消化できている。代表者も研究報告に加わることができたので、次年度は論文として査読誌に投稿すべく準備中である。 なお、本年度はアルバイト(補佐員)経費を十分に確保しなかったため、京大濱田文庫調査カードをデータ化することができておらず、次年度に、本年度分と併せた滞貨の解消を予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
①本研究の成果は、個別の論文として社会(学会)に還元されることが主になる。代表者は、現在、本課題の終了までに3本程度の論文を仕上げて、これまでに蓄積してきた研究と融合させ、『後期読本論(仮題)』として出版する予定である。一方、昨年度の報告にも記したように、連携研究者・研究協力者として本研究に参加している若手の成果は、すでに1本が査読誌に掲載、続いて2本が査読誌に掲載予定(6月)であり、その数はさらに増えるものと思われる。代表者としても、研究会がより一層高レベルな切磋琢磨の場となるようにつとめる所存である。 ②京都大学濱田文庫は、本研究のテーマに即して最適の調査先である。調査カードについては、次年度、新たに補佐員を雇用して、本年度滞貨分と共にデータ化し、最終年度には、広く研究的利用に供すると共に、資料の保存・利用のため、京都大学文学部閲覧室に提供する予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度京都大学濱田文庫調査のデータ入力滞貨分と併せ、次年度同調査データ入力を行うため、資料整理等補助員を雇用する経費に使用する。
|
Research Products
(1 results)