2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Transdisciplinary Study on the Literary Exchanges among Shelley-Byron Circle that Took Place in the Summer of 1816
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16K02473
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
阿部 美春 立命館大学, 言語教育センター, 非常勤講師 (60449527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 順路 明星大学, 教育学部, 教授 (00194712) [Withdrawn]
木谷 厳 帝京大学, 教育学部, 准教授 (30639571)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フランケンシュタイン / プロメテウス / ロマン派女性詩人 / ヴィクトリア朝女性詩人 / 科学 / メアリ・シェリー / レティシア・エリザベス・ランドン / エリザベス・バレット・ブラウニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1816年夏シェリー・バイロン・サークルの文学的交流の領域横断的な解明を目的とし、その成果を専門家に限らず広く社会一般に敷衍するため、一般図書として成果を発信することを当初から計画していた。 本年度は、三年間の研究成果に加えて、新たな研究成果とりわけイギリス・ロマン派第二世代の文学運動の裾野解明に関して、当初の計画を上回る知見を得たため、研究代表者と分担者で協議し、この知見を含めて成果を発信することが、学術的にも社会貢献においてもより意義あるものとなるとの結論に至り、期間延長申請・承認を経て、成果発信の課題に取組んだ。 出版物には、三年間の成果に加えて、新たにアルヴィ宮本なほ子氏の「7つ目のC ー 「モダン・プロメテウス」への批判的応答 ー 」を収録できたことの意義はきわめて大きい。宮本論考は、イギリス・ロマン派第二世代の「プロメテウス・カルト」をめぐるシンポジウムを、西洋文化の伝統の中に俯瞰すると同時に、その継承者をヴィクトリア朝時代の女性詩人エリザベス・バレット・ブラウニングのプロメテウス翻訳に跡づけるものである。本研究課題である女性詩人のプロメテウス表象研究の歩を、ロマン派からヴィクトリア朝時代に拡大したという点において大きな意義を有するものである。さらに、本庶佑氏(2018年度ノーベル化学賞)が創造的科学者の資質としてあげた6つのCに、「7つ目のC」Compassionを加えて「現代のプロメテウス」を検証し、21世紀のプロメテウス像への橋渡しをした。 本研究の射程は広範囲に及ぶが、とりわけ科学は、三年にわたるプロジェクトのトピックのひとつであることから、日本科学史学会会員に本を寄贈し、知見を紹介した。『フランケンシュタイン』に寄せる科学専門家の関心の深さから、領域横断的研究の新たな方向性と可能性の示唆を得ることができたことの意義は大きい。
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Research Products
(2 results)