2019 Fiscal Year Annual Research Report
Popular Musical Theatre in Britain and Its Transitional Period, 1910s to 1930s
Project/Area Number |
16K02477
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
赤井 朋子 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (70309433)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イギリス演劇 / ノエル・カワード |
Outline of Annual Research Achievements |
1910~30年代のロンドンにおいては、ミュージカルの先行芸能(ヴァラエティ、レヴュー、オペレッタなど)が数多く上演されていたが、それらのジャンルは当時、ロンドンに限らず、欧米の主要な都市や日本においても同様に流行していた。本研究課題はその種の演劇が、外国の演劇文化と交流し国際化して行く過程において、いかに国民的な性格を持つものへと変化していったのかを明らかにすることを目的とした。 最終年度である2019年度は、イギリスの劇作家ノエル・カワードの作品を中心に研究を進めた。まず、1920~30年代にカワードの作品がアメリカでも多く上演されていたことに着目し、カワード作品のアメリカ公演に関する上演資料(特に劇評や上演プログラム、写真等)を調査した。具体的には、New York Public Library for Performing Artsを訪問して調査を行った。そして、アメリカ人の目から見たカワードの劇(特に音楽劇)の特徴とそこに表れる国民性について情報を収集した。 2019年度はまた、カワードの音楽劇とイギリスの伝統文化との関係についても調査した。カワードはミュージカルの先行芸能と言える作品をいくつか書いているが、そのカワード自身の作品も、アメリカやヨーロッパ大陸の同時代の音楽(例えば、ジャズやオペレッタ等)の影響を受けながらも、自国イギリスにおける先行文学や音楽、例えば、ギルバート&サリヴァンのサヴォイ・オペラやヴィクトリア朝時代のノンセンス詩といったジャンルの特徴を受け継ぐものであったことを確認した。
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