2019 Fiscal Year Research-status Report
フランスの対外文化政策の一環としてのクローデルの駐日大使赴任に関する調査と研究
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16K02547
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
根岸 徹郎 専修大学, 法学部, 教授 (90349176)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フランス文学 / フランス演劇 / 日仏交流 / フランス文化外交 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年にあたる2019年度において、研究者は成果の発表として、2本の論文を準備した。1本は「ポール・クローデルと日本のカトリック布教」というタイトルで、本研究の調査対象であるポール・クローデルが外交官として、また劇詩人として、そしてカトリック信者として、1920年代の日本のカトリック布教の状況とどういった関わりを持ったかを、外交文書を出発点として検証したもので、専修大学現代文化研究会の会誌『現文研』第96号に発表(3月刊行)した。 もう一本は、2018年11月に日仏会館で行われたクローデル生誕150年記念シンポジウムを基にした論集に寄稿した、「日本が見たポール・クローデル――クローデルとその作品の日本における受容」と題する論考である。これは本科研助成を得て研究遂行者が大きく関わったシンポジウムで、日本とクローデルとの関わりに関する国際シンポジウムである。現在、この論集は刊行準備段階で、すでに初稿を終えているが、新型コロナウイルスの影響もあり、刊行が遅れているが、この夏の出版を目指している。 他方、本研究の成果発表として、3月に慶応義塾大学で一般向けに「クローデルとその時代」というてーまによる2日間のシンポジウムを主催、企画し、登壇者を決め、広報まで始めていたが、これも新型コロナウイルスの影響で延期をせざるを得なくなった。これは2020年の秋以降にもう一度、企画を立て直したうえで、実現させる予定である。 また、本研究の成果発表として、研究遂行者がパリ第4大学に提出したクローデルに関する博士論文をフランスで刊行予定で、現在、原稿を準備している。 以上が、本研究の2019年度における研究実績である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度終了予定だった本研究は、2020年度まで1年の延長を許可していただいた。現在、本課題の成果としてフランスで出版準備中の博士論文の出版準備中である。そのために、2020年度は資料的な確認、充実のために、フランスに出張して、外務省外交資料館およびフランス国立図書館において、補完的な資料調査を行う予定でいたが、3月からの新型コロナウイルスによる渡航制限等のために、現在まで十分な調査が実施できず、その分の遅れが生じている。 また、国内調査においても同じく、新型コロナウイルス対策のための移動制限から、京都のアンスティチュ・フランセでの資料調査等が十分に行えない状況でにある。その分はインターネット等の通信による資料調査委を行っているが、100年ほど前の資料であることから、まだ十分にデジタル化されていないものが多く、ここでも若干の遅れが生じている。 他方、成果発表の場として予定していたテーマ横断的なシンポジウムに関しても、新型コロナウイルスの影響で、この秋以降に延期したことなど、多くが現在の感染症予防対策の結果、当初の予定より遅れが生じている。 その一方、論考の発表などは、渡仏調査を必要とする上記の刊行物を覗けば、おおむね、予定通りのペースで行っているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、本研究の成果発表として、2つの柱を準備中である。 ひとつは、パリ第4大学に提出した博士論文をベースとして、本研究の4年間の成果を反映させた書籍の刊行である。これはフランスのブザンソン大学出版局から出版の予定で、現在、原稿を整理中である。新型コロナウイルスの影響によって、渡仏が困難な状況下で、現在は日本国内で可能なかぎりの作業に従事しつつ、より精度の高い刊行物の出版準備を進めている。 また、もうひとつの柱である領域横断的なシンポジウム開催については、2020年3月に実施の企画をし、ほぼ実施段階まで行っていたものであるが、やはり新型コロナウイルスへの対応によって、延期を余儀なくさせられた。現在、秋から冬にかけての開催を検討中であるが、場合によっては海外からの参加者も加えることで、オンラインによる開催も視野にいれつつ、本研究の成果発表にふさわしいものとなるように、企画を練り直すこととしている。
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Causes of Carryover |
本研究の成果発表として、現在、研究遂行者がパリ第4大学に提出した博士論文に本研究の成果を反映させた書籍を刊行準備中である。そのために、研究の精度を上げるために、資料等の確認、補遺が必要なことから、フランスおよび日本の関連施設等における資料の調査が必要となったため。このため、とくにフランス、パリの外交史料館および国立図書館、京都のアンスティチュ・フランセ関西に出張し、資料の確認等を行う。また、同時に関連資料の購入も行う。
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Research Products
(3 results)