2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K02582
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
佐藤 正光 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60272621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 未来 茨城女子短期大学, 表現文化学科, 講師 (30781603)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 唐詩 / 異読 / 訓読 / 俗語 / 口語 / 語彙解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
①、中華書局編輯部編『詩詞曲語辞辞典』に収める異読語彙の検討 昨年度に引き続き、中華書局編輯部編『詩詞曲語辞辞典』に収められた唐詩の用例の訳出を中心に行い、その中から異読語彙の摘出と整理、語義の確定に専念した。昨年同様、同書の収録語彙を研究代表者、研究分担者、研究協力者に振り分けて、各自が担当した語彙を翻訳した。全体では六回の研究会を開いて各自の担当語彙を討議し、語彙の意味と訓を確定して用法を検討した。この成果は抜粋して、佐藤正光・高橋未来・有木大輔・西村諭「中華書局編輯部編『詩詞曲語辞辞典』に見る唐詩の特徴的な用法について(3)」(『東京学芸大学紀要 人文社会科学系Ⅰ』第69集、2018年1月)に発表した。 ②、異読に関する先行文献の収集と整理 これは昨年度に課題として挙げていた点である。俗語・口語を中心とした異読に関する先行文献を可能な限り入手して、分析と整理を行い、その文献リストを発表した(高橋未来「唐詩の異読に関する資料目録」、『中唐文学会報』第24号、2017年10月)。今後も継続して文献収集を行う予定である。 ③、個別の詩人における異読の用例の検討 異読語彙の研究を進める中で、とくに検討が必要な語彙についてはさらなる考察を行った。その成果は佐藤正光「杜甫の詩における異読の考察」、高橋未来「崔顥「黄鶴楼」詩の「晴川」少考-解釈の多義性をどう授業に活かすかとの観点もあわせて-」(共に『学芸 国語国文学』第50号、2018年3月)に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、中華書局編輯部編『詩詞曲語辞辞典』に収める唐詩の用例を研究代表者、研究分担者、研究協力者に振り分けて翻訳作業に当たった。唐詩の用例は膨大で、唐詩だけでなく宋の詩詞及び元曲も合わせて訳出しているため、ペースを上げて多くの語彙を訳出検討する必要があったが、時間がかかり、想定よりもやや遅れている。 これまでの研究成果は、佐藤正光・高橋未来・有木大輔・西村諭「中華書局編輯部編『詩詞曲語辞辞典』に見る唐詩の特徴的な用法について(3)」(『東京学芸大学紀要 人文社会科学系Ⅰ』第69集、2018年1月)に発表した。その結果、六朝以前にまで遡る用例が多く見出され、対句と互文の用法が多いことが確認された。またひとつの語彙が唐詩から宋の詩詞、さらに元曲へと語義が継承される過程を辿ることができた。 以上の訳出作業の他に、先行文献の収集と整理及び、杜甫と崔顥の異読語彙の検討にも着手できたことは、大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も『詩詞曲語辞辞典』を中心に、唐詩の異読語彙の用例を訳出検討する予定である。この作業は来年度一杯で終えることを目標とする。ただ、これまでは唐宋の詩詞に加えて元曲の用例も訳出していたが、ペースが上がらず、唐詩の考察に集中できないことから、今後は方針を変更し、唐詩とそれ以前の六朝までの用例に絞って検討することとする。さらに、研究協力者を二名から四名に増やして、ペースアップと分析・検討の迅速化を図りたい。 それと並行して、個々の詩人における異読語彙の特徴等も幅広く検討し、研究会や論文誌等に発表する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)今年度内に購入する予定だった唐代語彙に関する研究書が、中国からの輸送の関係で遅れ、来年度に購入することになったため。
(使用計画)次年度は引き続き唐詩の異読語彙の訳出及び語義と訓の確定を行い、次年度いっぱいで訳出作業を終える予定である。それには効率よく迅速に作業を進める必要があり、研究会の回数を増やし、研究協力者も二名増やす予定である。加えて、大学院生に検討した語彙のデータベース化と原点資料の収集を担当してもらうため、交通費・謝金・資料収集などの経費を要する。また研究成果を発表するための学会参加には、参加費、交通費を要する。さらに、先行文献の収集及び異読という広範な語彙研究のためには論文資料の活用が欠かせないため、次年度よりCNKI(中国知網)の学術論文検索アクセス権を購入する予定である。
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Research Products
(4 results)