2017 Fiscal Year Research-status Report
ディアスポラ・アイデンティティの解体と記憶の抵抗―文学の紐帯機能の綻びと修復―
Project/Area Number |
16K02599
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 道男 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (20187769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 博司 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (20230427)
佐藤 雪野 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (40226014)
藤田 恭子 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (80241561)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | ディアスポラ解体 / ディアスポラからの離脱・復帰 / ルーマニアのドイツ系ディアスポラ / チェコのロマ / 旧英領マラヤの華僑 / エギナルト・シュラットナー / ズィーベンビュルゲン / バナート |
Outline of Annual Research Achievements |
①各研究者の個別事項:前年度に引き続き、必要に応じて海外調査を実行した。山下(旧英領マラヤ地域)、鈴木(オーストリアにおける文献調査)、佐藤(チェコ)は調査のための現地調査を遂行し、ほぼ調査を終了した。各研究者は可能な限りの成果を、論文の執筆と学術雑誌への投稿を開始した。 鈴木と藤田は、ルーマニアのズィーベンビュルゲンの(トランシルヴァニア)のドイツ系マイノリティ作家エギナルト・シュラットナー(ルーマニア・シビウ近郊在住)の作品『首を刎ねられた雄鶏』が、本研究のテーマ及び分担テーマにとって非常に有意義な材料を提供していることが把握できたため、一枚岩と目されているズィーべンビュルガー・ザクセンザクセンの内部の詳細及びそのナチズムによる画一化をめぐる変遷を描き出したこの作品の研究を共同で始め、作家本人と密接に連絡を取って了解を得て、作品の翻訳作業を開始した。これに関連して、鈴木は平成30年度初めに、ドイツ・オーストリアにおいて調査を行う必要が生じた。藤田は日本国内から戦後のバナートかららドイツに「帰還」したドイツ系住民に関する貴重な資料を収集することに成功した。 ②研究組織の全体事項:解体圧に瀕した局面におけるディアスポラの紐帯維持のための文学生産とその受容、個人レベルにおけるディアスポラ・アイデンティティの客体化による自己解放と文学及びホストマジョリティの文学的操作とディアスポラ・アイデンティティの客体化の各問題に関する討議を行い、共通認識を深めることに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鈴木担当分のシュラットナー作品とその背景を探る文献等の調査の必要が生じたため、とくに最終年度である平成30年度前半にもドイツなどにおける調査の必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者はドイツ等における調査を速やかに遂行する。この点で研究計画に若干の変更が生じた。それ以外、各分担者と全体的な研究の推移は順調である。
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Causes of Carryover |
主として、鈴木・藤田の課題遂行上、エギナルト・シュラットナー氏の作品に関する現地調査と文献収集を次年度に回して至急遂行する必要が生じたためと、初年度の交付開始が10月であったため。2018年度全半において予定通りの使用状況となる予定である。
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Research Products
(3 results)