2016 Fiscal Year Research-status Report
ストレスアクセント言語の学習における非音素的な特徴の役割
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16K02646
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
北原 真冬 上智大学, 外国語学部, 教授 (00343301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 聖子 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (60365856)
田嶋 圭一 法政大学, 文学部, 教授 (70366821)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 音声学 / 第二言語学習 / 異音 / ネイティブらしさ / 英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
英語のストレスによる非音素的な特徴の音声的な振る舞いについて,日米の両音響学会が開催したジョイントミーティングにおいて発表した.これは単なる発表ではなく,L2の音声に関するスペシャルセッションを,日本・米国双方の担当者と交渉して企画し,テーマに沿った発表者を公募するだけでなく,ゲスト講演者を日米から招くなど,高度に学術的な情報共有とアイデアの創発の場をデザインし,その中で自らも発表を行ったものである.
発表では,ストレスのある音節の直後に生起する弾音(flap)について,これまでの一連の研究の流れを踏まえつつ,単語同定課題に関する新たな実験結果の解析を扱った.弾音は音素/t,d/の異音として生起するが,これを[t,d]として発音した(北米英語としては不自然な)形式と,(自然な)弾音として発音した形式を刺激とし,それを「単語である」と判断させる課題を行うと,ネイティブ話者は弾音形式に対してより早く反応するのに対し,日本人の英語学習者は,反応時間は両形式間で差がないものの,弾音形式に対しての正答率が20%程度落ちることが明らかになった.
もちろんネイティブ話者の正答率は両形式ともほぼ100%であるから,学習者の音声認識・単語同定のプロセスの中に,正答率の差の原因があるはずである.考えられるのは,学習者は「規範的な形式」を優先する,という仮説である.例えば,単語のスペルにおいては"t, d"を用いて"better", "rider"のように書かれていると,発音としても[t,d]を好むという過程が考えられる.一方,ネイティブ話者は,日頃実際に耳にする弾音の形式に馴染んでいるため,それに対する反応時間の方が早いと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会発表と論文以外の部分でも,コーパスやデータベースの拡充,分析ツールの整備などを順調に行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の所属先変更(2016年9月)と,実験設備の移転(2017年4月)は無事に終了したため,計画第2年度の柱となる種々の音声実験を,予定通り進めていきたい.
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Causes of Carryover |
学会出張における旅費,ホテル代など季節や景気によって変動する要因があるため,2016年度交付額に対して6.4%程度の剰余が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際情勢の変化などに応じて,2017年度の学会出張における物価変動によって吸収される見込みである.
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Research Products
(4 results)