2020 Fiscal Year Research-status Report
大学の英語開講授業とキャンパスアジアにおけるトランス・ランゲージングの実態と活用
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16K02863
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
湯川 笑子 立命館大学, 文学部, 教授 (30309075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清田 淳子 立命館大学, 文学部, 教授 (30401582)
庵逧 由香 立命館大学, 文学部, 教授 (70460714)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トランス・ランゲージング / バイリンガル教育 / キャンパスアジア / 英語科目開講 / 3言語 / 学習者ストラテジー / 日中韓 / マルチリンガル |
Outline of Annual Research Achievements |
本科学研究費助成事業の研究のテーマであるtranslanguaging(TL)は、その理論についての反論や実践について留意すべき点についての議論が本科研の期間中に特に盛んになり(Poza, 2016; MacSwan, 2017, 2020; Cenoz & Gorter, 2017)、加えてTLの提唱者自身から拡張案と考えられる論考(Garcia & Lin, 2017; Garcia & Otheguy, 2020)も出たことから、本年度は、TLの理念と批判を再度吟味し、発表されている教育実践がどのようにTLを実現しているかを検討した。詳細にTLに関する議論を精査した結果、TLにおけるもっとも重要な価値は、バイリンガルの複数言語使用に対する見方を肯定的なものに改め、学習者らがTLできるスペースを(個別命名言語ごとに学習するスペースに加えて)確保しつつ学習者を育てることであることが分かった。(引用した文献は湯川・加納(2021)に記載あり。) 立命館大学キャンパスアジア・プログラム(CAP)のTLについては、CAP第1期生が2年生次、3年生次の中国・韓国での学習を全て終えた後にインタビューを実施し、各キャンパスでの教師と学生の言語使用状況を学生らの語りから明らかにした。結果は全て文字化し、Steps for Coding and Theorization (SCAT、大谷尚,2019)の手法で分析した。その結果、学生はまず授業内の困難の解決のために学生間でTLによって支援しあい、それ以外のコミュニケーションでは、意思疎通の「必然性」のため、言語習得やコミュニケーションへの「積極性」や、意思疎通の「豊富化」のために頻繁にTLを行い、その実践と鍛錬が意識的かつ方略的な学生の日常的なTLストラテジーを生みだしていたことが判明した。 英語科目開講科目の論文を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究論文の採択・編集プロセスに時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクトの作業として唯一残っているTLを活かした授業とその受講のためのハンドブックを作成する。
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Causes of Carryover |
作成予定だったハンドブックの完成が遅れ印刷費用を次年度に執行することにしたため。
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