2017 Fiscal Year Research-status Report
小学校英語教育における指導者の英語使用支援のためのTeacher Talk開発
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16K02964
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松宮 奈賀子 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (70342326)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小学校 / 外国語 / 英語 / Teacher Talk / 教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) All Englishで行われる小学校英語科授業映像の分析:昨年度に分析した授業映像とは異なる内容を扱う単元の指導においても,同様のTeacher Talk技術が用いられているかを確認するため,4つの授業映像の分析を行った。その結果いずれの授業においても200前後のTeacher Talk技術が用いられ,共通して最も多いのは身振り手振りで伝えることであるが,言葉での繰り返しや言い換えはいずれの授業においても次に多く用いられる技法であることが明らかになった。
(2) 大学院生による授業映像の分析:昨年度も学生を対象とした授業映像分析の調査を行い,その結果,学生は平均15個程度のTeacher Talk技術にしか気づけないことが明らかになったが,この調査では学生に映像を「通し」で見せたため,調査協力者が各自のペースで一時停止したり巻き戻して再度確認したりすることができなかった。この調査方法の欠点を補い学生のTeacher Talkテクニックへの気付きの実態を明らかにすること,またTeacher Talkテクニックについて明示的に学ぶことで気づきが深まるかを確認するという2つの目的から,大学院生を対象に調査を実施した。今回は映像を個別のPCで視聴し,何度でも停止したり巻き戻したりできるようにし,事前調査の後,明示的指導をはさんで事後調査を実施した。調査の結果,事前の段階では10個程度の気付きしか挙げられなかったものの,明示的指導の後には気づきの記述数がおよそ3倍程度増加した。
(3) 学部学生によるTeacher Talkの実態把握調査の実施:大学院生によるパイロット調査を上記(2)で行い,その後学部2年生を対象に,児童に向けたSmall Talkをする際に,どのような足場架け(=Teacher Talkテクニック)を使用するかの調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに進行している。ただし,学部生対象の調査を,Teacher Talkについて学ぶ機会のある授業科目内で実施しており,その授業が第4ターム(4学期制の最終学期で12月から2月の期間)に行われるため,当該授業内で実施した調査の結果分析は次年度の遂行課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)異なる指導者による英語授業の分析:現時点では小学校外国語(英語)科の授業をすべて英語で行っている教員は多くなく,これまで一人の教員による映像を分析対象としてきた。しかし,場面や内容に応じて選択され,使用されるTeacher Talkテクニックが異なるであろうことに加え,指導者個人の話し方の特徴も使用するTeacher Talk技術に影響を与えていると考えられる。そこで,異なる指導者による授業映像の分析を行い,最終的にどのようなTeacher Talkテクニックが用いられているかを調査する。 (2)Teacher Talkテクニックの指導用リストを作成する:これまでの研究および上記(1)の結果を受けて,Teacher Talkテクニックのリストを作成するとともに,特に明示的指導が求められる項目を明らかにする。 (3)明示的指導の前後での学生のTeacher Talkの変容調査:Teacher Talkテクニックの明示的指導の前後で,学生の実際の発話がどのように変わるかを調査する。調査は教育実習の前後で実施を予定している。 (4)成果の公表:以上の分析・調査の結果をまとめ,発表する。
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Causes of Carryover |
学部生を対象に調査を実施したが,Teacher Talkという本研究のテーマを扱う授業が第4学期(年度の最終学期,12月~2月)に開講され,その授業内で調査を実施したため,調査協力者の記述入力および結果の分析を年度内に実施することができなかった。一定の調査協力者確保のためには,上述の授業内で調査を実施することが最も適当な方法と考えられ,その結果,調査の実施と分析が年度をまたぐ形となってしまった。以上のことから,学生の記述の書き起こし作業に使用する予算が次年度へと繰り越されることとなった。
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