2017 Fiscal Year Research-status Report
ビジネスパーソンと英語学習者用の最適化された高難度英語音声システム構築
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16K02973
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
松井 順子 明海大学, 外国語学部, 准教授 (00275819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 文子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (20237928)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 英語 / リスニング / 音声 / ビジネス / 聞き取り / 弱化 / 脱落 / リンキング |
Outline of Annual Research Achievements |
はじめに:日本語話者が英語を学習する際に様々な要因で聞き取りが難しい。外交や企業の交渉者が聞き取り能力が不足しているために、交渉の主旨が理解できず、重大な過ちをおかしたり、不利な立場に置かれたりすることがある。どの要因が最も英語の聞き取りに影響し、聞き取りを難しくしているか特定することによって、効率よく難しい英語を集中的に学習者に提示し、聞き取り力を強化できる。 調査データと結果:英語の聞き取りの難しさは、音声的な要因と音声以外の要因が両方考えられる。2015年度は、音声的な要因(リンキング、同化、連続母音、弱化、脱落、フラップ化、成節子音、縮約形、破裂のない閉鎖音など)を調べた。その結果、固有名詞の聞き取りが一番難しく、次いで、語数の多い文、脱落、同化、リンキングの聞き取りが難しいことが判明した。続いて、2016年度には、抽象度、背景知識などが聞き取りの難しさに貢献していることが考えられるので、音声、語彙、文法、意味の四要素がどのように作用しているか検討した。語彙、文法、意味を一定の尺度にしたがってレベル分けした。調査の結果、音声的な難しさが意味上の難しさよりも聞き取りの障害になっていることが多かった。2017年度は、2015-2016年度の結果に基づいて、システムに文を追加し、続けてデータを集め、英語の聞き取りの難しさを分析した。拡大システムを一般公開し、一般のビジネス・パーソンや将来、国際舞台で活躍する可能性のある学生などが自由に練習できる場を設ける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リンキング、脱落、弱化、同化などの音声データを中心にシステムを構築しているが、個別の音の属性を手作業で入力している。システム構築のサイクルとしては:文の作成→録音→文の定義(脱落や弱化などを拾い出し、文の属性として指定する)→(イラスト等の補助教材作成)→アップロード→難しさの分析、の繰り返しであるが、個別の音声現象の属性の入力に莫大な時間がかかるため、データの追加のペースが遅い。開発の速度を加速するため、音声現象の属性をソフトウェアで判別し、定義できるように、システムを整備している。新システムが完成すれば、開発の時間が数十分の一に短縮されると予想される。 個別音以外に、トピック、談話の種類(アナウンス、スピーチ、対話等)、抽象度、持続時間、音節数、語彙の難しさ、文法、速度、聞き取り回数、イントネーションの型、文型、背景知識の有無、専門知識の有無、判断力の有無など、他のパラメータも聞き取りの難しさに貢献していると考えられるので、新たに測定パラメータを増やし、分析を進める必要があるが、上記の音声属性設定の作業を優先しなければ、基本システムが完成しないので、音声以外の分析は、次年度以降に延期する。基本システムが完成後に、その他のパラメータをさらに追加する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
国際交渉や発表の英語の要旨や主旨を外交官やビジネスパーソンなどが適格に理解し、重大な過ちに陥ってしまったり、不利な立場に置かれたりすることがないために、国際社会で必要な難しい英語を学習者に提示し、効率よく学ぶ環境を用意する必要がある。2015年に調査した個別音、さらに2016年度で調査した音声、語彙、文法、意味の四要素などが、それぞれどの程度、聞き取りの難しさに貢献しているのか、さらに精査する必要がある。 現在、手作業で入力している個別の音の属性をソフトウェアで判別・定義できるように、システムを整備している。更新システムが完成すれば、脱落や弱化などの属性を半自動的に定義できるので、開発のペースが大幅に加速する。 聞き取りの難しさに貢献しているパラメータが、さらにはっきりしたら、その要素を多く含む音声データを作成し、項目の数を続けて増やし、最終目標の5,000文に近づける。最終的に、システムを一般公開して包括的に最も難しい要素を数多く含む項目を英語学習者に提供し、国際社会で活躍する外交官やビジネスパーソンなどが自由に利用できる環境を整える。 現システムの一般公開後に、さらに音声的な要因以外のトピック、談話の種類(アナウンス、スピーチ、対話等)、抽象度、持続時間、音節数、語彙の難しさ、文法、速度、聞き取り回数、イントネーションの型、文型、背景知識の有無、専門知識の有無、判断力の有無などがどのように聞き取りと関わっているのか、将来的に調査したい。
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Causes of Carryover |
現在、リンキング、脱落、弱化、同化などの音声現象を分析しているが、個別の音の属性を手作業で入力している。システム構築のサイクルとしては:文の作成→録音→文の定義(脱落や弱化などを拾い出し、文の属性として指定する)→(イラスト等の補助教材作成)→アップロード→難しさの分析、の繰り返しであるが、個別の音声現象の属性の入力に莫大な時間がかかるため、データの追加のペースが遅い。開発の速度を加速するため、音声現象の属性をソフトウェアで判別し、定義できるように、システムを整備したい。新システムが完成すれば、開発の時間が数十分の一に短縮され、ビジネス、外交、交渉、交流などで英語の聞き取りが必要な一般の英語学習者や学生などが自由に練習できるシステムを公開することが可能になる。
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