2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Historical and Topographical Study on Alexander's Expedition in the Central Asia and India
Project/Area Number |
16K03127
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
森谷 公俊 帝京大学, 文学部, 教授 (60183662)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アレクサンドロスの東方遠征 / 中央アジア / 古代インド / 古代ソグディアナ |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目のパキスタン、パンジャブ地方の調査では、まずタクシラ遺跡で大王が訪問した当時のビールマウンドの遺構を確認した。次に大王がマッロイ人と激戦を交わした地域を調査し、インダス支流の合流点やタランバの遺跡を訪れて、重要な知見を得ることができた。ただしポーロス王との大規模な会戦が行われた現ジェルム川では、車で川に接近できる箇所が限られており、戦場を特定するには至らなかった。 2年目のパキスタン北西部における調査では、ハザラ大学ザヒル准教授の全面的な支援を受け、スワート地域でのアレクサンドロス遠征路をたどった。その結果、大王の侵攻に直面したバジラの住民がイラム山に避難したこと、これ以外のスワート上流域の住民がアオルノスに逃れたことが明らかになった。さらにピールサルに登山して、これをアオルノスに同定したスタイン説が正しいことを確認した上、戦場となったピールサル北端に到達し、戦闘経過を復元することができた。この成果をハザラ大学考古学科の講演会で発表し、パキスタンにおける古代史研究に貢献できた。またザヒル准教授との共同論文を執筆し、現在投稿中である。 3年目のウズベキスタンの調査では、アムダリヤ渡河点の遺跡を調査し、大規模な遺構があることがわかった。地元のソグディアナ人が立てこもった3つの岩砦については、考古学者のゴリン氏の協力が得られたが、軍の検問所に妨げられて必ずしも十分な調査に至らなかった。それでも2つの岩砦を特定することができた上、大王の正妃ロクサネの故郷が確認できた。ヒサル山脈の東側は豊かな平野で、アムダリヤ南の古代バクトリア地方とつながりが深いのに対し、ヒサル山脈西側が本来のソグディアナ地方であることがわかった。この対照も、実地調査で初めて得られた知見である。
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Research Products
(4 results)