2018 Fiscal Year Annual Research Report
Archaeological investigation into eating habits from Satsumon to Ainu
Project/Area Number |
16K03150
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
深澤 百合子 東北大学, 国際文化研究科, 名誉教授 (90316282)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 土器付着炭化物 / 同位体分析 / 擦文土器 / 調理実験 / カマド / 焼骨 / オオムギ / 脂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は、これまでに明らかにできた推定食材がどのように調理され吹きこぼれ痕として土器に炭化付着するのかを、複製土器を使用して実験から検証できたことである。土器付着の炭化物はその成分を同位体分析による成分分析の結果から、水産資源由来であることが判明している。それはまたかまど堆積層から検出された遺存体である魚骨の焼骨からも証明することができた。水産資源とは別に、竪穴住居床直上の採取土壌によるフロテーションの成果からは雑穀栽培種のオオムギをはじめキビの炭化種子が検出されており、雑穀が食されていたことも判明した。注目されたことはアカザの炭化種子も多量に検出され、アカザが葉を食する食用植物であることは文献からわかっている。アカザと同種のシロザは栽培化されてキヌアという雑穀になっていることから検出された炭化アカザも穀類として食された可能が考えられる。 実験では、雑穀類に魚貝類と山菜類を組み合わせ土器で調理する鍋汁を想定した。カマド構造が現在と当該時代の状況が異なるため復元に困難さは残るが、吹きこぼれの生じる食材と土器調理における吹きこぼれの状況をデータ化する目的でおこなった。鮭、カレイ、シジミ、フキ、ウド、ワラビ、ゆり根も食材として組み合わせた。また脂の添加の違いも注目した結果、脂が加わる以外はすべて吹きこぼれることがわかった。このことは動物の肉は吹きこぼれないことがわかる。これは同位体分析による結果と矛盾していない。粘着性についても土器付着と形状が類似するのはキビ、もち麦、ゆり根、ワラビの組み合わせで、火にかけて10分程度で泡が盛り上がり吹きこぼれた。もち麦使用の場合と押麦の場合では粘着性が異なり、擦文のオオムギの場合は皮製と裸性の違いがあるので、オオムギの種類判定にも吹きこぼれ痕が有効であると思われる。
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