2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03274
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
矢野 達雄 広島修道大学, 法学部, 教授 (00136300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紺谷 浩司 広島大学, 社会科学研究科, 名誉教授 (00033738)
居石 正和 島根大学, 法文学部, 教授 (40224315)
加藤 高 広島修道大学, 未登録, 研究員 (50079274)
林 真貴子 近畿大学, 法学部, 教授 (70294006)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 裁判所文書 / 判決原本 / 未確定記録 / 調停調書 / 民事事件簿 / 刑事事件簿 / 陪審裁判 / 文書目録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、裁判所所蔵文書の検討によって、戦前期日本における「実態としての法」を明らかにすることを通じ、日本近代法史像の再検討を進めることを目的としている。上記目的達成のため、平成29年度中に実施した研究の概要は、以下の通りである。 (1)裁判所所蔵文書の調査……旧広島控訴院管内各裁判所に出張し、その保管する旧広島控訴院時代の簿冊等を調査し、デジタルカメラにて撮影した。出張した裁判所と回数および進行状況は、以下の通りである。広島地裁・高裁(5回)帳簿・簿冊類の撮影をほぼ終えた。山口地裁(6回)民事関係簿冊の撮影を終え、刑事関係簿冊の撮影に取りかかっている。松江地裁雲南簡裁(6回)大正・昭和戦前期の簿冊目録を作成し、簿冊の撮影中である。鳥取地裁(6回)大正・昭和戦前期の簿冊目録の作成に取り掛かるとともに、大正・昭和戦前期の各種簿冊を撮影中である。 (2)戦前の一時期実施された陪審裁判の資料調査については、名古屋控訴院管内、長崎控訴院館内の資料調査が完了した。(3)収集したデータの整理と保管、および研究メンバーによる翻刻と検討……上記調査によって得られたデータを整理し調査日誌を作成する作業を続けた。また重要と判断される史料の翻刻を続けた。(4)研究会の開催……2017年12月2日、広島修道大学「明治期の法と裁判」研究会を開催し(於広島修道大学7号館会議室)、席上本研究の進展状況および研究成果を発表した。(5)研究成果の公表……本研究の成果を、『修道法学』第40巻第1号、同第2号その他に公表した。また陪審裁判関係のデータを、『修道法学』第40巻第2号に附録CD〔資料編〕として添付し公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国地方旧広島控訴院管内の各裁判所に残された資料の調査について、調査はおおむね順調に推移している。 また、戦前の一時期実施された陪審裁判の資料調査については、名古屋控訴院管内、長崎控訴院館内の資料調査が完了した。 収集したデータを点検し、解読する作業も定期的に続けられている。また、研究メンバーの執筆にかかる論文や資料紹介を各大学の研究紀要等に発表している。さらに研究会を開催し、メンバーによる研究成果の発表なども適宜行っている。 以上を踏まえて、本研究はおおむね順調に推移してると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 本研究の3年目にあたって、つぎの課題を遂行する。 (1)旧広島控訴院管内の裁判所文書の調査・撮影・保存の作業を継続する。(2)収集したデータの整理・解読・翻刻作業を継続する。勧解・調停、未確定記録の収集と分析を進める。(3)得られたデータを基に、「近代法史像の再検討」という観点から理論化を継続する。(4)研究会を開催し研究成果を報告するとともに、研究成果を『修道法学』・『島大法学』・『近大法学』その他に掲載する。(5)戦前実施された陪審裁判の実施過程に関する史料を収集し、発表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B-A)が、4225円となっているのは、島根大学配分額(すべて物品費)のうち当該金額が支出されなかったためである。この金額は平成30年度島根大学において支出する予定である。
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